陣痛とはどんな痛み?正しい知識で不安を軽減【看護師が解説】

妊婦 陣痛

出産予定日が近づくと、もうすぐ赤ちゃんに会えるという期待感とともに、陣痛に対する不安感が強くなることもありますよね。

陣痛の痛みはさまざまなことに例えて話されますが、聞くと不安が増してしまうこともあります。
陣痛は、赤ちゃんを産むための必要なもの。

陣痛に対する正しい知識を持ち、不安を軽減して出産を迎えられるように準備しましょう。

陣痛の役割

赤ちゃんがお腹の外に出てくる準備が整うと、オキシトシンとプロスタグランジンというホルモンが分泌されて陣痛が始まります。

陣痛には、子宮口を広げる、子宮を収縮させ赤ちゃんを体外へ出すという2つの働きがあります。

子宮口を広げる

赤ちゃんが外に出るためには、狭い子宮口と産道を通る必要があります。
妊娠していない状態の子宮口は、月経血や分泌物が通過できる程度しか開いていません。

赤ちゃんの体の中で一番大きい部位は頭で、妊娠38〜40週の赤ちゃんの頭の直径(児頭大横径)は8.5〜10cmと言われています。

赤ちゃんが通過するためには、子宮口が10cmにまで広がる必要があります。
同時に骨盤も広がり、赤ちゃんが通過できる広さになります。

この時に感じる痛みが陣痛です。
赤ちゃんを体外へと押し出す

子宮口が十分に開き、いよいよ赤ちゃんが体外へと出る準備が整うと、子宮が収縮して赤ちゃんを押し出そうとします。

陣痛は1〜3分間隔に起こり、持続時間も長くなります。
この時の陣痛は強く、母体にとっては辛く感じられるでしょう。

しかし、赤ちゃんも外に出るために頑張っているのです。
赤ちゃんがスムーズに外に出ることができるように、陣痛に合わせていきむことでサポートをすることができるのです。

陣痛の種類は2つある

陣痛は、前駆陣痛と分娩陣痛の2種類があります。
出産予定日が近づき、赤ちゃんが体外へ出ても良い時期になると前駆陣痛が起こります。

陣痛が規則的に起こり、10分間隔になるとお産陣痛が始まったサインであると考えます。

前駆陣痛とは

お産に向けて、子宮口が柔らかくなり始めるとともに、生理痛に似た痛みが不規則に起こるようになります。
これが前駆陣痛です。

下腹部の痛みに加え、お腹の張りが頻回に起こるようになります。
前駆陣痛の特徴は、不規則に起こり、痛みやお腹の張りも10〜20秒程度で落ち着くこと。

繰り返し前駆陣痛が起こることによって、お産に向けての準備が整っていきます。

分娩陣痛

分娩陣痛は医学用語で、本陣痛とも言われることがあります。
下腹部の痛みや張りが規則的に起こり、10分間隔になることが目安となります。

このタイミングで病院へ来るように指示されることが多いのは、これがお産開始のサインと考えられているためです。

お産の経過について

分娩陣痛が始まると、いよいよ赤ちゃんとの対面が間近となります。
しかし、陣痛が起こる間隔が狭くなるにつれ、痛みはどんどん強くなっていきます。

さらに、陣痛の持続時間も徐々に長くなります。
お産の経過について詳しくみていきましょう。

分娩1期前半

分娩1期は開口期とも言われ、陣痛が規則的になって子宮口が全開になるまでを指します。
陣痛が5〜10分間隔で起こり、子宮口は7cm程度まで広がります。

初めてのお産の場合は15時間程度、経産婦の場合は6〜8時間が目安となります。
陣痛は規則的に起こりますが、まだそれほど痛みは強くないため、痛みが引いている間は食事をしたり仮眠を取ったりすることもできます。

お産をスムーズに進行させるためには、陣痛が引いている時間の過ごし方がポイントになります。
お産は体力が必要になります。

そのため、休めるときにしっかりと休み、可能であれば食事をとることによって、体力を温存することができます。
さらに、リラックスすることによってオキシトシンの分泌量が増え、お産の進行をスムーズにすることができます。

分娩1期後半

この時期の陣痛は、2〜5分間隔になり、持続時間も40〜60秒と長くなります。
初産婦で6時間、経産婦で3時間程度かかります。

子宮口が10㎝と最大に開き、赤ちゃんの頭が骨盤内へと下がってきます。
これにより、お腹だけではなく腰や足の付け根にまで痛みの範囲が広がり、姿勢を変えても痛みが引かなくなります。

可能な限り楽な姿勢で過ごし、痛みの強い部分をさすってもらうと痛みが和らぎます。
徐々に赤ちゃんが下がって来るため、自然といきみたくなりますが、ここでいきんでしまうと膣や会陰が裂けてしまう恐れがあります。

さらに、いきむと呼吸が止まってしまうため、赤ちゃんに十分な酸素が行き渡らなくなる可能性もあります。
そのため、呼吸法などでいきみを逃す必要があります。

お産の経過の中では、この時期の痛みが一番強く、辛く感じられるでしょう。
しかし、赤ちゃんも狭い産道を通過するために頑張っています。

家族や医療関係者のサポートを受けて乗り切りましょう。

分娩2期

子宮口が全開になると、陣痛は1〜3分間隔になり、持続時間もさらに長くなります。
陣痛に合わせていきみ、赤ちゃんが体外に出るお手伝いをしましょう。

赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて、羊水が流れ出ます。
赤ちゃんに会えるのはもうすぐ!

指示に従ってなるべく長くいきみましょう。
子宮口から赤ちゃんの頭が出たら、いきみは終了です。

赤ちゃんは狭い産道内で、からだを上手に回しながら外に出てきます。
先生や助産師の指示に従って、小さな呼吸を繰り返し赤ちゃんの誕生を待ちましょう。

分娩3期

弱い陣痛が起こり、赤ちゃんに栄養を与えていた胎盤が剥がれて、体外へと排出されます。
子宮が収縮することによって、胎盤が剥がれた部位からの出血を防ぎます。

痛みを和らげる方法

分娩陣痛が始まると、痛みが定期的に起こるうえ、徐々に範囲は広くなり強くなっていきます。
痛みがあるからといって体に力を入れると、痛みが強く感じられます。

大きな呼吸を繰り返して、痛みを上手に乗り切りましょう。

呼吸法について

フランス人医師が考案したラマーズ法は、陣痛の痛みを乗り切る効果的な方法の一つです。
妊娠6〜7ヶ月になったら、夫婦で練習しておくことをおすすめします。

2回鼻から息を「ヒッヒッ」と吸い込み、口から「フー」と吐き出します。
痛みが強い時は、体の力を抜いて、なるべく長く息を吐くのがポイントです。

息を吐くと同時に声を出すと、長く上手に吐くことができます。
この呼吸法は、いきみ逃しにも効果的です。

腰をさする、肛門を押す

お産の経過中は、断続的な強い痛みが長時間続き、体力を消耗します。
しかし、出産するための体力は残しておかなければなりません。

陣痛の合間には、体の力を抜いてリラックスするよう心がけましょう。
骨盤が開き、赤ちゃんが骨盤内に下がってくると、腰の周りやお尻まで痛みの範囲が広がります。

腰をさすったり強めに押したりしてもらうと痛みが和らぎます。
肛門を強めに押してもらうと、痛みが和らぐと言われています。

テニスボールなどを使用して、痛みが和らぐ程度の力で押してもらいましょう。

陣痛を促すホルモンとは

陣痛は、脳から分泌される2つのホルモンによって促されます。
これらのホルモンには子宮の収縮を促すはたらきがあるため、陣痛誘発剤や陣痛促進剤としても使用されます。

これらのホルモンの働きについてみてみましょう。

オキシトシン

オキシトシンは、脳の視床下部から分泌されるホルモンで、陣痛ホルモンとも言われています。
このホルモンの作用である筋肉を収縮させる働きによって、子宮を収縮させて陣痛を起こし、赤ちゃんを体外へと押し出します。

このホルモンは、安心や幸せを感じた時などに多く分泌されます。
陣痛の合間にリラックスすると、オキシトシンの分泌量が増加し、結果として陣痛を促進させることにつながります。

また、このホルモンには母乳の分泌を促す働きもあります。
赤ちゃんに乳首を吸われる刺激が脳に伝わると、オキシトシンが分泌されて母乳分泌が促される仕組みです。

プロスタグランジン

陣痛に関わるプロスタグランジンは2種類あります。
プロスタグランジンの主な働きは、子宮口を柔らかくして広がりやすくすることです。

出産予定日に近づくと分泌量が増加して、出産に向けての準備を促します。

まとめ

陣痛の痛みは、さまざまなことに例えられ話されます。
その話を聞くと、どんなに痛みが強いのかと心配になってしまいますよね。

陣痛は、赤ちゃんを体外へと出すための大切な力となるものです。
赤ちゃんも狭い産道を通って外に出ようと頑張っています。

呼吸法を取り入れリラックスし、楽な姿勢をとるなどしながら、陣痛の痛みを乗り越えましょう。