産後の異常やトラブル

産後に起こりやすい体の異常やトラブル

こちらでは産後に起こりやすい体の異常やトラブルについて紹介しています。産後はホルモンバランスの変化や陣痛で体力をかなり消耗しているので、体に異変が出やすいので注意が必要です。また、産後特有の病気もあるので知って気を付けましょう!

 

悪露の異常(おろのいじょう)

 

悪露は日に日に量が少なくなり、色も鮮血の赤色→茶色→黄色とだんだん血の色が薄くなります。止まった出血がまた出ることもありますが、何度か繰り返していくうちにやがて出なくなります。

 

異常があるときは鮮血が出続ける時、大きな塊が出た時、臭いがきつい時、悪露の色が明らかに汚く膿のような感じの時などです。原因は胎盤が子宮の中に残っている場合や、子宮復古不全や細菌感染などです。細菌感染の場合は子宮内に細菌が入り、子宮内膜炎おこり悪露の異常が起こります。子宮内膜症の場合の治療は抗生物質で治療し、産褥シートやナプキンをこまめに取り替え常に清潔に保つようにします。胎盤や卵膜が残っている時は掻爬してきれいにすることもあります。

 

後陣痛(こうじんつう)

 

後陣痛とは出産後に子宮が元の状態に戻ろうと子宮収縮が起こり、その時に弱い陣痛のような痛みを伴うので後陣痛と言います。子宮が戻ろうとしているので異常ではありません。症状が軽い人はほとんど痛みを感じませんが、重い人は痛みで眠れないくらいひどい事もあります。
痛みは出産後3日位までには落ち着きます。後陣痛が痛い時は医師に相談し鎮痛剤を処方してもらいましょう。初産婦さんより経産婦産の方が子宮の元に戻るスピードが早いので痛みが強い傾向にあります。

 

子宮復古不全(しきゅうふっこふぜん)

 

出産後子宮の戻りが悪い事を子宮復古不全と言います。原因は様々で子宮が大きくなり過ぎ子宮の筋肉が伸びきってしまった時、遷延分娩で子宮の筋肉が疲れてしまった時、子宮内に胎盤や卵膜が残っている時、子宮が細菌に感染している時などにおこりやすいです。
子宮収縮が弱い場合は子宮収縮剤を使用して治療します。胎盤や卵膜が子宮内に残っている時は掻爬してきれいにすることもあります。細菌感染の場合は抗生物資で治療します。

 

胎盤遺残(たいばんいざん)

 

産後子宮内に胎盤の一部が残っていることを胎盤遺残と言います。胎盤が残っていると子宮収縮が弱く元に戻らなかったり、悪露がだらだらと続いたり大量に出血することがあります。細菌に感染し子宮内膜炎になる事もあります。

 

最近は出産後に子宮収縮剤を投与し、出てきた胎盤をチェックするので胎盤遺残がおこる事は少ないですが、退院後に悪露が鮮血になり出血量が多い時は診てもらいましょう。

 

治療は子宮収縮剤を使用して胎盤を出したり、子宮内に残っている胎盤を医師が取り除くこともあります。産後の生理等で出てくることもあるので子宮内に胎盤を残したまま様子を見ることもあります。異常を感じたらすぐに診てもらいましょう。

 

産褥熱(さんじょくねつ)

 

産褥熱とは出産で傷ついた産道や、胎盤の剥離面に細菌に感染し炎症を起こし熱が出ることを言います。熱は38度くらいで発熱時期は感染した細菌によって異なり、産後1日後に熱が出る事もあれば、1週間後に出ることもあります。

 

治療は抗生物質を使用し、パッドやナプキンをこまめに取り替え清潔に保つようにします。必要に応じて子宮内除去術を行います。

 

最近は衛生環境がよくなり産褥熱になる事は少なくなりましたが、いまだに重症化する事もある怖い病気なので、清潔に保つように気をつけ熱が出た時はすぐに診てもらいましょう。

 

肺塞栓症(はいそくせんしょう)

 

肺塞栓症とは下肢の深在静脈などにできた血栓が、静脈血流にのって肺動脈を詰まり、胸部が痛くなったり呼吸困難などになることを言います。原因は出産後や帝王切開の術後に長時間同じ姿勢で安静にしていたためや、手術に脱水などにより血液が固まったことによりおこります。

 

肺塞栓症を予防するために、産後や帝王切開の術後は早めに歩行をしたり、ベッドの上で足を動かしたりします。 もともと血液が固まりやすい人や、妊娠高血圧症候群症、多胎妊娠、肥満などの場合に起こりやすい病気です。

 

妊娠高血圧症候群の後遺症

 

妊娠高血圧症候群は妊娠中に起こる病気で、出産後はほとんどの場合治りますが、もともと高血圧体質だったり、重度の妊娠高血圧症候群になったりした場合、症状が出産後も出続けることがあります。

 

治療は妊娠中と同じように食事に気をつけて安静に過ごします。出産後も妊娠高血圧症候群の症状が出た時は、すぐに治療をする事が大事です。放っておくと慢性の高血圧症になる事もあります。

 

恥骨結合離開(ちこつけつごうりかい)

 

出産する時赤ちゃんが狭い骨盤を通るとき、恥骨の結合部分がゆるくなりますが、赤ちゃんが大きすぎたり産道が狭いと、結合部分が開いたままになったり、歪み、損傷等が起こる事があります。その場合、恥骨部分が強く痛んだり腫れたりします。

 

出産後は徐々に回復し痛みがおさまる事もありますが、痛みが強い時は診てもらうようにしましょう。出産後に無理をしたり重たいものを持つと回復が遅くなったり、「パキッ」と言う音とともに、激痛が走ることがあるので気をつけましょう。専用の骨盤ベルトやコルセットで固定をすると回復を助け痛みが和らぎます。

 

膀胱炎・腎盂炎(ぼうこうえん・じんうえん)

 

出産時に尿道や膀胱が圧迫され傷付くことや、尿道が開いてしまうことがあり、そこから細菌が入り感染すると膀胱炎や腎盂炎になってしまいます。

 

膀胱炎は排尿痛や残尿感があります。腎盂炎は熱が40度くらいまで急激に上がります。腎臓付近や背中に痛みがあり、尿が白く濁ります。膀胱炎も腎盂炎も抗生物質を使用して治療します。排尿時に違和感を感じたらすぐに診てもらうようにしましょう。

 

慢性化しないようにしっかり治療して、ショーツやおりものシートはいつでも清潔に保つようにしましょう。性行為の前はシャワーで体をきれいにし手や爪の間も石鹸で洗うようにしましょう。

 

腰痛

 

産後はなれない赤ちゃんの抱っこや授乳で、腰や背中が痛くなる事があります。妊娠中に腰痛がひどかった場合、産後も育児で悪化することがあります。

 

腰痛や背筋痛は姿勢を改善することで良くなる事があります。座って抱っこをしたり、授乳をするときはテーブルやクッションを使ったりして、腰に負担がかからないようにしましょう。授乳中に赤ちゃんを覗き込んで、前かがみにならないように気を付けましょう。

 

痛みがひどく育児もままならない時は病院で診てもらいましょう。専用のベルトやコルセットで痛みが軽減することもあります。

 

痔や脱肛(だっこう)

 

妊娠中の便秘でできた痔が、出産時のいきみや産後の便秘で悪化する事があります。また産後は母乳で水分が取られ便秘になりやすく痔になる事があります。内痔核は悪化すると肛門から飛び出して来ます。

 

切れ痔(裂肛)は排便時に便が硬いと肛門が切れ出血します。イボ痔(内痔核)は肛門付近の血行が悪くうっ血したときや、肛門に炎症がおこるとできます。

 

痔は便秘を解消すると改善することが多いので、食事等に気をつけて便秘を解消させましょう。母乳をあげている時は水分をたくさん取るようにしましょう。トイレに長時間座る事はさけ、トイレに行ったらきれいに汚れを落とし、肛門はいつも清潔に保つようにしましょう。
痛みがひどい時や、便秘が解消されない時は病院で診てもらいましょう。

 

便秘

 

妊娠中の便秘でできた痔が、出産時のいきみや産後の便秘で悪化する事があります。また産後は母乳で水分が取られ便秘になりやすく痔になる事があります。内痔核は悪化すると肛門から飛び出して来ます。

 

出産直後は会陰切開が痛んだり、痛みが怖く便を出すことができず便秘になったり、母乳に水分を取られてしまい便が固くなり、便秘になってしまうことがあります。便秘が慢性化し悪化すると肌の調子が悪くなることや、頭痛、高血圧、大腸がんになることもあるので、慢性化しないように食事や運動等で治すことが大事です。便秘は痔の原因にもなります。

 

食物繊維、水分、乳酸菌など便秘の解消に役立つ食材食べるようにし、適度に運動をしましょう。赤ちゃんのお世話で生活リズムを整えるのは難しいですが、睡眠時間はしっかりとるようにしましょう。便秘がなかなか改善されない時は、病院で診てもらい薬を処方してもらいましょう。

 

尿漏れ

 

産後は骨盤底筋群が緩むため、尿失禁が起こりやすくなります。骨盤底筋群とは骨盤の下にあり膣、尿道、大腸、子宮など骨盤の中にある内臓を支えている筋肉です。出産時は産道になるので筋肉が伸びしまい、産後は子宮からの圧迫がなくなるので緩んでしまいます。 そのためくしゃみ等でお腹に少し力を入れただけで失禁してしまうことがあります。

 

出産後は少しずつ回復するので、ほとんどの場合治りますが、骨盤底筋群を鍛えることでより早く回復します。膣も緩んでしまい入浴時に水が入ってしまうことがあります。こちらも骨盤底筋群を鍛えることで改善できます。

 

抜け毛や白髪

 

出産後はホルモンの変化で、抜け毛や白髪が多くなる事があります。ひどい人は毎日束のように向け落ちることもあります。ホルモンバランスが落ち着くと自然と治ります。気になるときはたんぱく質や海藻類、緑黄色野菜などを多く摂取し栄養補給をしましょう。

 

体重の増加、体形の崩れ

 

ほとんどの妊婦さんは出産後すぐの体重が妊娠前よりも3~5キロほど多く、半年くらいで元に戻ることが多いです。中には母乳に栄養を取られ、妊娠前よりも体重が落ちる人もいますが、逆に体重が増えてしまう人もいます。

 

母乳をあげていると異常なほどにお腹がすき、ついつい食べ過ぎてしまったり、育児のストレスで過食をしてしまったり、1ヶ月健診後もあまり体を動かさず家にこもっていると、運動不足になってしまい体重が増えてしまいます。

 

母乳をあげている時の食事は低脂肪、高タンパクを心がけ、カロリーの低い和食を中心に食べるようにしましょう。1ヶ月健診で異常がなければ運動をしてカロリーを消費し、筋肉をつけて新陳代謝を良くしましょう。

 

妊娠中に伸びたお腹の皮膚は出産後にたるんで下っ腹が出てしまいます。お腹のたるみやたれたお尻は筋肉を鍛えることで改善されるので、毎日少しずつでも鍛えるようにするといいと思います。

 

乳汁うっ帯(うつ乳)

 

出産直後はおっぱいに血液が集中しうっ血して、パンパンに張って熱を持つことがあったり、まだ乳管がしっかり開いていないため、母乳が出ずどんどんたまってしまい、乳房がパンパンに張れてしまうことがあります。強い痛みや高熱熱を伴うことがあります。

 

たまった母乳をそのままにしておくと乳腺炎になってしまうことがあります。おっぱいが固く触ると痛いですが赤ちゃんに頑張って吸ってもらい、母乳を外に出すようにしましょう。

 

初期のうっ血は入院中になる事が多いので、看護師さんや助産師さんにおっぱいまサージをしてもらいましょう

 

搾乳する時は乳腺を刺激するとさらに作られてしまうので、乳頭付近を搾るようにしましょう。

 

乳腺炎(にゅうせんえん)

 

乳腺炎とは乳頭から乳腺に細菌が入り炎症が起こることや、乳汁うっ帯で炎症がおこることを言います。炎症がおこると母乳に血や膿が混じり、炎症部分が強く痛んだり熱が出ます。

 

細菌に感染している時の治療は抗生物質を飲み、重症の時は切開し膿を出します。乳汁うっ帯の場合は患部をひやしたり搾乳や赤ちゃんに吸ってもらったりすることで改善します。

 

予防は母乳をためないようにし、乳頭はいつでも清潔に保ち、亀裂などの傷ができた時は授乳の前後は洗浄綿で拭くようにしましょう。痛みや熱が出たり、乳頭に白斑出たり、母乳に血や膿が混じった時は病院で診てもらいましょう。

 

貧血

 

妊娠中に貧血があったときや、出産時にたくさん出血すると産後に貧血になる事があります。授乳中は赤ちゃんにも鉄分を与えているので、積極的に摂取するようにしましょう。植物性食品に含まれる鉄分は吸収率が悪いですが、ビタミンCやタンパク質、お酢と一緒に摂取することで吸収率がアップします。動物性食品に含まれる鉄分は植物性食品に比べると、吸収率がとてもよく特にレバーがお勧めです。

 

貧血の時には鉄剤が処方されます。人によっては胃がむかむかしてしまったり便秘や下痢になったりすることもあります。体に合わない時は医師に相談して、別のものを処方してもらうといいと思います。

 

お茶やコーヒーに含まれるタンニンという成分は、鉄分の吸収を妨げる働きがあるので貧血の時は気をつけましょう。