安産型とは本当に安産になる体型なの?【看護師が解説】

女性

「お尻が大きい女性は安産型である」と言われていることを知っていますか?

お尻が大きい=骨盤がしっかりしているという考えのようですが、実は根拠がしっかりしているわけではないのです。

しかし出産は、痛みを伴う大変なものですから、できるだけ安産でありたいと考えますよね?

ではこれから、安産であるために妊娠中から気をつけたい生活習慣について詳しく紹介していきます。

さらに難産についても解説します。

お尻が大きいと安産というのは本当?

なぜお尻が大きい女性は安産型と言われるのでしょう。

出産間近の臨月になると、赤ちゃんと羊水を合わせた重さは4kg前後になります。

これを支えるために、骨盤がしっかりとしていることが大切になります。

このことから、お尻が大きい女性は安産型であると言われるようになったと考えられます。

安産とは?

一般的には、陣痛が始まってから出産までにかかった時間が短いことを安産と言いますよね?

しかし、医学的には安産や難産という明確な定義はなく、分娩に要した時間や出産方法などによって正常分娩や異常分娩に分けられます。

そのため、陣痛が順調に進み分娩を迎える正常分娩であることが、安産と考えることもできます。

また、出産が大変だったのかそうでなかったのかを判断するのは自分自身です。

正常分娩であることに加え、出産が比較的楽だと感じた場合は「安産」だということもできます。

正常分娩とは?

正常分娩は、陣痛促進剤などの薬剤を使用せず自然な陣痛によって、経膣分娩をすることです。

つまり、自然な状態で分娩をすることを指しています。

臨月になると、不規則なお腹の張りが出現するようになります。

これは前駆陣痛といい、出産に向けて準備が整ったというサインの一つです。

前駆陣痛を経て、分娩につながる本陣痛が起こります。

本陣痛の特徴は、お腹の張りが規則的に起こり、徐々に間隔が短くなっていくことです。

本陣痛が10分間隔になると、いよいよ分娩が開始となります。

分娩は3つの期間に分けられています。

  • 分娩第1期 「開口期」と言われ、子宮口が全開(10cm)に開くまで
  • 分娩第2期 「娩出期」と言われ、破水し胎児が外に出るまで
  • 分娩第3期 「後産期」と言われ、胎盤などが娩出されるまで

分娩にかかる時間について

本陣痛が10分間隔になり後産が終わるまでを、分娩時間と考えます。

初産婦の場合は30時間未満、経産婦の場合は15時間未満の出産を正常分娩と言います。

分娩にかかる時間は個人差が大きいため、目安となる時間に当てはまらない場合もあります。

分娩にかかる時間

  • 分娩第1期 分娩第2期 分娩第3期
  • 初産婦 10〜12時間 1〜2時間 15〜30分
  • 経産婦 5〜6時間 30分〜1時間 10〜20分

正期産とは?早期産と過期産のデメリットについて

妊娠37週0日〜41週6日の期間内に出産することを「正期産」と言います。

この期間中に生まれた場合、お腹の外でも成長していける状態まで成熟しているため、発育上の問題は少ないと考えられます。

一方、これより早い出産は「早期産」、遅い場合は「過期産」と言われます。

早期産のデメリットは赤ちゃんの成長が未熟であることです。

過期産のデメリットは、羊水の減少や胎盤の機能が低下することによって、赤ちゃんに十分な栄養が届かなくなるなどのリスクが生じる恐れがあることです。

さらに胎便を吸ってしまうと低酸素状態になり、後遺症が残ったり命に関わったりする重大な事態になるおそれもあります。

安産型という体型はあるの?

では、お尻が大きい女性は、本当に安産型なのでしょうか?

お尻の大きさと安産との関係について詳しくみていきましょう。

お尻が大きいとは?

赤ちゃんは、ママの骨盤を通り抜けて生まれてきます。

そのため骨盤が広くて大きいとスムーズに通ることができるため、分娩にかかる時間が短くなる傾向にあります。

つまり、骨盤が広い女性は安産になりやすいということができます。

しかし、骨盤の広さとお尻の大きさは同じとは言えません。

理由は、お尻の大きさには筋肉や脂肪の付き方も関係しているからです。

そのため、お尻が大きい=骨盤が広いというわけではないのです。

お尻が小さいと難産になる?

骨盤の広さは個人差があり、背の高さによっても違いがあります。

一般的に背の小さな女性は、骨盤が狭い傾向にあります。

しかし出産の時は、骨盤と骨盤内にある靭帯も伸びて広がるため、お尻が小さいからといって必ずしも難産になるとは限りません。

安産になりやすい人は?

安産になりやすい人は、骨盤の広さだけではなく、それ以外にもさまざまな要素があると言われています。

安産に関係があると言われている要素について紹介します。

適正体重である

身長と体重から計算されるBMIは、体型を表す数値の一つです。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

で計算します。

日本では、BMI18.5〜25未満を適正体重としており、BMI22が理想的であるとされています。

適正体重の女性は、妊娠高血圧症候群などの病気になりにくく、産道に余分な脂肪が付いていないことなどから安産になりやすいと言われています。

筋力がある

分娩第2期では、赤ちゃんが外に出るために、陣痛に合わせていきむ必要があります。

赤ちゃんを生むためには、適切な強さで長くいきむ必要があります。

この時に必要となるのは、筋肉と体力です。

特に腹筋は重要な役割を果たしており、さらに全身の筋肉も使っていきむことによって、赤ちゃんが外に出るのを助けます。

体が柔らかい

体が柔らかいということは、筋肉や靭帯の伸びがよいということです。

分娩の時は、産道が広がりやすいような体勢を保たなければなりません。

そのため、体が柔らかい方が負担が少ないと言えます。

また、筋肉が柔らかいと産道が広がりやすいという利点もあります。

それから、骨盤内には子宮を支えるために、たくさんの靭帯が存在します。

分娩が始まると靭帯が伸びることによって、赤ちゃんは産道を通過やすくなります。

これらのことから、体の柔らかさは安産になりやすい要因の一つであると言えます。

難産になりやすい人は?

難産とは、本陣痛が始まってから赤ちゃんと胎盤が出るまでに時間を要すことを指しています。

出産に時間がかかると、赤ちゃんとママの両方に負担がかかります。

場合によっては、吸引分娩や鉗子分娩になることや、帝王切開に切り替えることもあります。

では、難産になりやすい人の特徴をみていきましょう。

太りすぎと痩せすぎ

BMIが25以上になると太りすぎに分類されます。

太りすぎの場合、産道にも脂肪が付いていることが多いため、赤ちゃんが産道を通りにくくなると言われています。

また妊娠中は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病にかかるリスクが高まりまるため、体重増加には十分に注意する必要があります。

逆に痩せすぎの場合は、いきむ力が弱かったり体力が続かなかったりするため、難産になる可能性があります。

また、貧血があると出産時の出血量が多くなる傾向にあるため、妊娠中の食事管理が大切になります。

児頭骨盤不均衡である

児頭骨盤不均衡とは、赤ちゃんの頭とママの骨盤の大きさが釣り合っていない状態を指します。

この状態で分娩すると、赤ちゃんがなかなか骨盤を通過することができず難産になりやすくなります。

ママ側の原因は、身長が150cm以下であることや骨盤が狭いことが挙げられます。

一方赤ちゃん側の原因は、4000g以上の巨大児であることや水頭症という病気を持っていることなどが挙げられます。

児頭骨盤不均衡が疑われる場合は、妊娠後期に検査を行い判断します。

明らかにそうであると診断された場合は帝王切開になりますが、疑いの場合は経膣分娩になることが多いと言われています。

出産適齢期の年齢ではない

日本産婦人科学会では、35歳までが出産適齢期であると位置付けています。

10代での妊娠は、骨盤の生育が不十分である可能性があり出産にリスクが生じることも考えられます。

体の状態やホルモンバランスなどのさまざまな理由から、出産に適した年齢は20代であると言われています。

35歳以上になると、筋肉や靭帯が伸びにくいうえ、骨盤が開きにくくなるため難産になる心配があります。

逆子である

妊娠後期になると、赤ちゃんは自然と頭を下にして骨盤内へと降りてきます。

しかし逆子の場合は、足やお尻から生まれてくるため分娩に時間がかかるうえ、低酸素脳症などのリスクが高くなります。

そのため、出産予定日が近くなっても逆子のままである場合は、帝王切開での出産になることが多いと言われています。

また、へその緒が赤ちゃんの体の一部に巻きついていることがあります。

これを臍帯巻絡(さいたいけんらく)と言います。

巻きついたへその緒によって分娩が妨げられることがあり、難産の原因の一つであると言われています。

難産が心配な時は?

先輩ママから「分娩はとても痛いものだ!」と聞くと、分娩に対しマイナスイメージを持ち、不安が強くなってしまうこともあるでしょう。

しかし、心配や不安な気持ちはストレスとなり、赤ちゃんに影響を与えるばかりでなく、難産のリスクを高めてしまう原因にもなります。

まずは不安を軽減するために、分娩についての正しい知識を持つことをおすすめします。

また、不安なことはそのままにせず、医師や家族、友人などに相談しましょう。

年齢や骨盤の広さなど変えられないものもありますが、筋力や体力をつけたり、骨盤を開きやすくする体操をしたりするなど工夫することは可能です。

なるべく早い時期から分娩に向けて、心と体の準備を開始しましょう。

安産になるため妊娠中でもできること

正常分娩は、赤ちゃんの負担が少ないことや、低酸素脳症などになりにくいなどのメリットがあります。

もちろん分娩が順調に進むことは、ママにとっても体への負担が少ないためよいことであると言えます。

では、安産になるよう妊娠中にできるのはどのようなことでしょうか?

詳しくみていきましょう。

体重の増加に注意しましょう

妊娠中に体重が増えすぎると、さまざまなリスクが生じます。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になると、母体だけではなく赤ちゃんにも影響を及ぼしてしまいます。

さらに、産道に余分な脂肪がつくことによって、産道が狭くなり赤ちゃんが通過しにくくなり難産になることも。

そうならないよう、妊娠中は医師から支持された体重制限をしっかりと守ることが大切です。

適度な運動をしましょう

安定期になり医師の許可が出たら、適度な運動に取り組みましょう。

ウォーキングやマタニティヨガなど、自分にあった運動に取り組むことで、体力や筋力のアップにつながります。

さらに、体重管理や逆子対策にも運動は効果を発揮します。

無理のない範囲で体を動かす習慣を作りましょう。

バランスの良い食事をとりましょう

妊娠中は、赤ちゃんに優先的に栄養が送られるため、貧血になるママも多いでしょう。

分娩時に貧血があると、出血が多くなる傾向にあるので、鉄分を多く含む食べ物を意識して取ることをおすすめします。

また、バランスの良い食事によって蓄えられた体力は、長時間の分娩を乗り切るための必要なものです。

バランスの良い食事を適量とることによって、体重増加を予防することもできますよ。

骨盤のストレッチをしましょう

安定期に入ったら、骨盤を広げやすくするストレッチを行いましょう。

初めは固かった骨盤周りもストレッチを続けることによって、柔らかく広がりやすくなりますよ。

体が硬い人でもストレッチを継続することで、筋肉や靭帯が伸びやすくなります。

分娩について正しい知識を持ちましょう

分娩の経過や上手ないきみ方など、分娩についての正しい知識を持つことは、不安を軽減することにつながります。

分娩は痛くて怖いものというイメージがあると、分娩中に体に力が入りやすくなりスムーズに進まないこともあります。

また、夫と一緒に分娩について学ぶことも大切なことです。

夫婦で力を合わせて分娩を乗り切ることによって、さらに絆が強くなることでしょう。

まとめ

昔からお尻の大きな女性は、安産型であると言われてきました。

しかし安産型に関係しているのは、お尻の大きさではなく骨盤の広さや大きさです。

赤ちゃんは骨盤と産道を通って生まれてくるため、骨盤の広さは分娩に影響すると考えられます。

しかし、安産になるためにはお尻の大きさ以外にも、適正体重であること、筋力や体力があること、体が柔軟であることなども加味する必要があると言えます。

安定期に入り医師の許可が降りたら、5つの安産になるために妊娠中にできることに取り組み、出産に向けての準備を行いましょう。