妊婦さんに葉酸はなぜ必要【看護師が解説】

妊婦 妊娠

妊娠すると葉酸を摂った方が良いと言われていますね。

でも、妊娠にとって葉酸のどんなことが良いのか、摂る量はどれくらいか、どんな食品に入っていて、効果的な料理法は何かなど、よく知っているという方は少ないのではないでしょうか。

葉酸は、妊娠していなくても生きていく上で重要な栄養素です。

ここでは、葉酸の働きや赤ちゃんへの影響、葉酸を多く含む食品、料理例、葉酸を摂る時の注意点などをお話します。ぜひ、参考にしてくださいね。

葉酸とは?

女性

葉酸とはどのような栄養素なのか、どのような食品に含まれているのかなどをご説明しましょう。

どのような成分か?

葉酸は、ビタミンB群の一種です。

普段の生活でも、妊娠中でも必要とされている栄養素です。

葉酸は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害や貧血の予防に重要な役割を果たすと言われています。

妊婦さんと授乳期の方は特別で、多く摂る必要があります。

食品からの摂取は、身体に入った後の吸収率が悪いため、食事と合わせてサプリメントからの摂取も奨励されているのです(参考文献1)。

どんな食べ物に入っている?

葉酸はどのような食品にたくさん入っているのかをご紹介しましょう。
最後に、各栄養素の働きも示しています。

葉酸が多い野菜4つ

野菜名 100g当たりの葉酸の量 葉酸以外の栄養素
茹で
1. 枝豆 320 μg 260 μg たんぱく質・ビタミンB1・カリウム
2. モロヘイヤ 250 μg 67 μg βカロテン・カルシウム
3. 芽キャベツ 240 μg 220 μg ビタミンC・ビタミンK・βカロテン
4.ブロッコリー 210 μg 120 μg ビタミンC・ビタミンK

葉酸が多い果物4つ

果物名 100gあたりの葉酸の量 葉酸以外の栄養素
1. マンゴー 260 μg (ドライ)
84μg (生)
ビタミンC・カリウム
熟したものは、βカロテン
2. ドリアン 150 μg 脂質・ビタミンC・ビタミンE
3.  ライチ 100 μg ビタミンC
4. いちご 90 μg ビタミンC

葉酸が多い肉類(3つ)

肉の種類や部位 100gあたりの葉酸の量 葉酸以外の栄養素
1. 鶏レバー 1300 μg ビタミンA・ビタミンB12
2. 牛レバー 1000 μg ビタミンB12・銅
3. 豚レバー 810 μg ビタミンA・ビタミンB12

※ ビタミンAが過剰になることがありますので、レバーは食べ過ぎないように注意しましょう。

レバーペーストは、100g当たりの葉酸が140μgです。

レバーそのものよりも葉酸は少なくなりますが、手軽に食事に摂り入れることができますね。

葉酸が多い魚介類3つ

魚介類 100gあたりの葉酸の量 葉酸以外の栄養素
1. うなぎ(きも) 380 μg ビタミンAビタミンD
2. うに 360 μg ビタミンE・βカロテン・ビタミンB群
3. たたみいわし 300 μg ビタミンD・ビタミンB12

※ ビタミンAが過剰になることがありますので、うなぎの肝は食べ過ぎないように注意しましょう。

各栄養素の働き

たんぱく質 体の主成分で、赤ちゃんの脳や筋肉を作る。
脂質 効率のいいエネルギー源。脂溶性ビタミンの吸収を助ける。
たんぱく質 体の主成分で、赤ちゃんの脳や筋肉を作る。
脂質 効率のいいエネルギー源。脂溶性ビタミンの吸収を助ける。
ビタミンA 皮膚やのど、鼻などの粘膜を正常に保つ。
ビタミンB1 エネルギーの代謝を助ける。
ビタミンB12 葉酸とともに赤血球の形成に関係する。
ビタミンC コラーゲンを合成したり、鉄の吸収を高める働きがある
ビタミンK 出血した時に血を固めたり、骨にカルシウムが沈着するのを助ける働きがある。
カロテン 皮膚や粘膜の細胞を正常に保つ作用があり、免疫力を高める働きもある。
カリウム ナトリウムによる血圧上昇を抑制する。筋肉の働きをよくする。
赤血球のヘモグロビンを作るのに必要な栄養素。
酵素の正常な働き、骨の形成をサポートする。
カルシウム骨や歯を作る。血液の凝固や心機能、筋肉の収縮に関係する。

妊娠中はいつでも食べたほうがよいのか?

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葉酸は、妊娠中の全期間を通して必要な栄養素です。

葉酸は、妊娠していなくても普段の食事から摂らなければならない栄養素ですが、特に妊娠する4週間以上前から妊娠12週(妊娠3ヶ月)までは、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすために、重要だとされています。

妊娠中に葉酸を摂取したほうがよい理由

特に妊娠に関係する葉酸の働きには、「タンパク質や核酸の合成」「細胞の成案や再生の促進」「赤血球の生産や促進」ということがあります。

妊娠中に葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害が心配されます。赤ちゃんには、二次的にリスクとして、貧血の可能性もあります。

神経管閉鎖障害の予防

神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄などの中枢神経の元である「神経管」の一部が塞がらず、脳や脊髄が正常に機能できなくなる疾患をいいます。

神経管閉鎖障害は、どの部分の神経管が塞がらないのかで、障害の発生が違います。

神経管の下の部分が塞がらない「二分脊椎症」と、神経管の上の部分が塞がらない「無脳症」の2つの疾患があります。

貧血の予防

妊娠後期には、特に赤ちゃんにより多くの栄養や酸素を送る必要がありますので、貧血に注意しなければなりません。

葉酸は、赤血球の生産をサポートする働きがあるので、貧血予防や貧血改善に役立つとされています。

血液を作り出すのに必要な栄養素は、鉄分、葉酸、ビタミンB12、ビタミンC で、上記の理由から特に妊娠中には重要な栄養素です。

妊娠中の葉酸の必要量

厚生労働省の発表によると、葉酸は、妊娠初期(0~3ヶ月)には通常推奨量の240μg+妊娠期の推奨量400μgの合計640μg摂ることをすすめています。

この400μgは、サプリメントからの摂取が奨励されています(参考文献2)。

理由は、葉酸は食品からの吸収が非常に悪いためです。

サプリメントから摂取するほうが、葉酸の吸収率が高く、効率よく葉酸を摂ることができるからです。

葉酸を吸収するのによい調理方法

では、次に葉酸を効率よく摂取する調理方法をお伝えしましょう。

生で食べる

葉酸は、熱に弱く加熱によって失われてしまうため、生で食べるのが一番です。

野菜や果物など生で食べられるものは、ジュースにしたりそのまま食べると効果的に葉酸が摂れます。

電子レンジでチンする

直接に火を通すよりも電子レンジを使用すると、葉酸が失われにくいのでおすすめです。

葉酸は、熱に弱いので調理することによって約半分は分解されてしまいます。

蒸す

ステンレスの多層構造鍋を使って水を使わないで蒸すと、栄養を逃さずに食べることができます。

この時に冷水に取る必要はありません。

冷水にとると葉酸や他の栄養素も溶け出してしまいます。

蒸したあとは、お皿に広げて、冷ますのが一番良いでしょう。

スープにする

葉酸は水溶性ビタミンのため、茹でると茹で汁に溶け出してしまいます。

スープだと、溶け出した葉酸も一緒に食べることができます。

葉酸は熱に弱いので、加熱時間が増えるとそれだけ失われます。

一口大に切ったり、切り込みを入れたりして加熱時間が短くなるようにするといいですね。

冷凍する

たくさんあって保存したい場合は、冷凍がおすすめです。

ブロッコリーや枝豆は、一度加熱しから小分けにして冷凍します。

栄養価もほとんど変わらないとされており、自然解凍してそのまま食べるといいですね。

鮮度が良い時に食べる

葉酸は光に弱いことがわかっています。

買ってきたら、できるだけ早く冷蔵庫に保存しましょう。

光に当たっていると、加熱していなくても少しづつ葉酸が失われてしまいます。

他の栄養素との組み合わせる

ビタミンB6とビタミンB12、ビタミンCと一緒に摂ると葉酸の吸収率が上がります。

組み合わせて料理してみてくださいね。

ビタミンB6 鮭・まぐろ・かつお・鶏のひき肉・にんにく
ビタミンB12 煮干し・しじみ・あさり・のり(焼き/味付け)
ビタミンC 赤ピーマン・芽キャベツ・キウイフルーツ

葉酸を摂取するのによい料理

葉酸の摂取に効果的な料理をご紹介します。

スムージー・ジュース

葉酸を多く含む野菜や果物を合わせてミキサーでフレッシュジュースやスムージーにすると効率よく葉酸を摂ることができます。

バナナは甘みを加えることができますし、ビタミンCが豊富なレモンやキウイフルーツを加えると、葉酸の吸収も良くなってさっぱりとした味になります。

野菜には、細胞壁があって生のままだと体に吸収されにくいという特徴があります。

でも、ミキサーを使うと細胞壁が壊されて、消化吸収が良くなるのです。

生の小松菜をスムージーにする場合は、時間が経つと酸化しますので注意が必要です。

作ったらそのときに飲みましょう。

枝豆を使った料理

枝豆は、とても手軽で効率的に葉酸が取れる食品です。

さやと豆の重さは半々くらいです。

例えば100gの枝豆は、実際に食べるマメの部分は50g程度。

100gの枝豆で、320μgの葉酸が摂れます。

一番ポピュラーな茹でた枝豆だと、葉酸は少し減りますが、260μg摂れますよ。

おやつや副菜に便利な枝豆です。

モロヘイヤスープ

100gのモロヘイヤには、250 μgの葉酸が含まれています。

茹でると67μgに減りますが、スープにそのまま入れるといいですね。

ブロッコリーは電子レンジを使う

耐熱皿にブロッコリーを入れて、ラップをふんわりかけて、電子レンジでチンすると食べることができます。

この方法だと葉酸も他の栄養も失われずに、効率的に栄養が摂取できるのです。

ブロッコリーは、冷凍しても栄養素があまり変わらないと言われています。

うにのパスタ

うにのクリームパスタソースは、葉酸が豊富に含まれていて、おいしい一品ですね。

100gのうにで360 μgの葉酸を含みます。

葉酸の摂取の注意点

妊娠中には、特に必要な葉酸ですが、葉酸を摂るにあたっての注意がありますので、参考にしてくださいね。

加熱

葉酸は光や熱に弱いため、調理によって約半分の葉酸がが失われてしまいます。

さらに、葉酸は体内での利用率があまり良くないことがわかっています。

食品中の葉酸は、体内で代謝されるときに様々な過程を経るため、葉酸の利用率が半分くらいに低下します。

最終的に、食事からの葉酸が体内で利用率は、当初の25%程度になるとも言われているのです。

ですので、食品から効率的に葉酸を摂るには、工夫が必要です。

タバコやアルコール

タバコやアルコールを摂取していると、葉酸の吸収が妨げられてしまいます。

せっかく摂った葉酸の吸収が妨げられてしまうと、残念ですね。

禁煙、禁酒しましょう。

サプリメントの重複

葉酸の摂り過ぎによる疾患は報告されていません。

でも、葉酸の摂取が1日当たり1000μg(=1mg)を超えると、ビタミンB12の欠乏の診断が難しくなることがわかっています。

厚生労働省の食事摂取基準(2015年)では、サプリメントからの1日の葉酸の摂取は900−1000μgを超えないようにとしています。

これには、食品からの葉酸は含まれていないのです。

食品から摂る葉酸は、身体に入ってからの吸収率が約25%で、非常に低いことがわかっています。

食品からの葉酸量が基準値より多くても尿などに排泄されるため、問題にはならないとされています。

妊婦さんにとってより良いな食事を心がける

妊娠中にバランスの良い食事をするには、下記のことを参考にすると良いでしょう。

ひどい偏食をしない

食べられないものが多く、偏食がひどいと栄養が偏ってしまう可能性があります。

どうしても食べられないものは、無理をして食べる必要はありませんが、その他の食品で代用しましょう。

同じものばかり食べない

身体にいいからといって、同じものばかり食べると栄養が偏ります。

また、同じ栄養の摂り過ぎにつながる可能性がありますので、注意が必要です。

3食きちんと食べる

食事の基本は、3食きちんと食べることです。

これまでの食生活を、ガラリとかえる必要はありませんが、1日1食や2食だと母体と赤ちゃんの栄養が充分に摂ることができません。

3食食べていない人は、これを機会に生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

規則的な生活をして、食事も3食が理想的です。

ダイエットはしない

体重の管理のために、妊娠中は無理なダイエットはしないでください。

特に炭水化物を極端に減らしたり、食べなかったりするのはよくありません。

身体の基本的なエネルギーは、炭水化物から作られます。

赤ちゃんのためにも、食事を抜いたり無理なダイエットはやめましょう。

量はほどほどに

たくさん食べてしまう人、体重が気になって量を制限している人などがいるかもしれません。

妊娠中の食事の適量を知って、量を調節しましょう。

厚生労働省が作った「妊産婦のための食事バランスガイド」が役立つでしょう。

参考にしてみてくださいね。

[厚生労働省「妊産婦のための食事バランスガイド」]

よく噛む

良く噛んで食べると、唾液もたくさんでて消化にもいいのです。

また、よく噛むと満腹中枢が刺激されて、食べすぎないようにセーブしやすくなります。

いつもよりも数回を多く噛むことから始めてみてはいかがでしょうか。

おやつもOK

食事で足りない分は、おやつを食べても大丈夫です。

カロリーオーバーにならないようにしましょう。

お腹が苦しくて、1回では食べ切れない場合は、分割して食べてもいいですよ。

おいしく楽しく食べる

食事はおいしく楽しく食べるものです。

不要な制限はしなくても大丈夫です。

体重やカロリーが気になる場合は、医師や助産師、栄養士に相談しましょう。

まとめ

葉酸の働きや赤ちゃんへの影響、葉酸を多く含む食品、料理例、葉酸を摂る時の注意点などをお話しました。

熱や光に弱かったり吸収率が悪かったりと、弱点がたくさんある葉酸ですが、赤ちゃんのためにもママのためにも重要な栄養ですね。
毎日効率的に葉酸が摂れるように、工夫してみてくださいね。

  1. 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について 厚生労働省 (2000年)
  2. 「日本人の食事摂取基準2015年版」