妊婦さんは生ハムを食べても大丈夫?【看護師が解説】

妊娠中の食べ物には、何かと気を遣いますよね。

食べてはいけないものや食べる時に注意するものなど、病院で詳しく教えてくれることは少ないかもしれません。

生ハムも妊娠中に食べてもいいのかどうか、迷ってしまいますね。

生ハムは、火が完全に通っていないため、妊娠中には避けた方が良いとされています。

なぜ妊娠中に生ハムは避けた方が良いのか、どのようなリスクがあるのか、妊娠中に安全な食事をするにはどのように注意したら良いのかなども合わせてお話ししましょう。

生ハムとはどういう食べ物か?

女性

生ハムとは、肉を長い時間をかけて塩漬けして、乾燥、発酵、燻製にしたものです。

燻製にしているものが多く、加熱されているものは少ないです。

では、生ハムには、どのような栄養素が含まれているのかをお話しましょう。

エネルギー

生ハムの100gのカロリーは、250kcal前後です。

目安量は、外国産1枚(長さ17−18cm程)です。

約15gで40kcalです。

国産か外国産かで異なります。

ビタミンB1

ビタミンB1は、糖質がエネルギーに変わるときにサポートする作用があります。

ナイアシン

ナイアシンは、脂質、糖質、タンパク質の代謝に必要な栄養素です。

アルコールの分解にも関係しています。

タンパク質

タンパク質は、筋肉や身体を作る成分として重要な栄養素です。

脂質

脂質は、エネルギー源になったり、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きがあります。

ビタミンB6

ビタミンB6は、タンパク質の代謝に必要な栄養素です。

免疫機能を正常に維持したり、皮膚の粘膜を健康に保つ働きがあります。

脂質の代謝にも関係し、肝臓に脂肪が溜まっていくのをセーブします。

食塩

身体の塩分濃度を調節し、他の栄養素の消化や吸収をサポートしたり、筋肉の動きや神経伝達を助けたりする働きがあります。

亜鉛

亜鉛がないと作ることができない酵素が200種類以上あります。

発育を促し、傷の回復をサポートし、味覚を正常に保つ働きがあります。

妊娠中はいつでも避けたほうがいい?

生ハムは、全妊娠期間を通して食べないほうが良いとされています。

生ハムは、充分に火が通っていないため、トキソプラズマやリステリアによる食中毒が心配だからです。

妊娠中に生ハムを避けたほうがいい理由

妊娠中に生ハムを避けた方が良いとされている理由は、先天性トキソプラズマ症とリステリア症の発症の可能性があるからです。

一つずつ説明しましょう。

トキソプラズマ

トキソプラズマは、充分に加熱されていない肉や猫の糞便から感染する可能性があります。

生ハムの他にローストビーフなども、加熱が不充分なため、その危険性がありますので注意が必要です。

リステリア症の可能性

妊娠中は、病気に対する抵抗力が低下しているため、少量のリステリア菌でも発症して、リステリア症になることがあります。

敗血症や髄膜炎などの症状を起こします。

妊婦さんには、流産や新生児に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

生ハムを食べてしまった時の対処方法

妊娠中に、生ハムを食べてしまったら、かかりつけの医師に相談しましょう。

トキソプラズマの感染が気になるときには、抗体検査で感染の有無などを確認することが可能です。

トキソプラズマ

加熱が不十分な肉類から感染する可能性があります。

原因や症状、治療などについて見てみましょう。

原因

トキソプラズマは、加熱の不充分な肉や猫の糞便からの感染で起こります。

生ハムもよく加熱されていないので原因になりかねません。

潜伏期間

10日から数週間ほどです。

症状

大人や子どもが後天的にトキソプラズマに感染した場合は、多くは無症状です。

発症した場合は、発熱、身体がだるい、リンパ節腫脹などの症状があります。

先天性トキソプラズマ症

妊婦さんがトキソプラズマに初めて感染した場合、胎盤を通して赤ちゃんに感染する可能性があります。

流産や死産を引き起こす可能性があります。

赤ちゃんへの感染率は、妊娠後期になるほど高くなります。

感染が起こった場合の重症度は妊娠初期ほど高くなります。

先天性トキソプラズマ症では、水頭症、視力障害、精神運動発達遅延などの症状があります。

検査

トキソプラズマの抗体検査をすることが可能です。

治療

抗生物質の内服がありますが、国内ではトキソプラズマ症は適応外です。

海外で使用されている薬は、日本では未承認のため、個人輸入したり適応外使用で治療が行われています。

リステリア菌

妊娠中は、病気に対する抵抗力が低下しているため、少量のリステリア菌でも発症して、リステリア症になることがあります。

原因や症状、治療などについて見てみましょう。

原因

リステリア菌は、普段私達が生活している中にも広く存在する菌です。

リステリア症は、リステリア・モノサイトゲネスによって発症します。

生肉やナチュラルチーズなどの食物から感染することがわかっています。

潜伏期間

24時間未満〜3日以上、1ヶ月以上の場合もあります。

症状

一般的には、リステリアをたくさん摂取しなければ、発症しませんし、発症しても軽症で自然に治癒するとされています。

リステリア菌に感染した時の症状には個人差があります。

発熱、悪寒、筋肉痛などの症状がありますが、他の感染症との区別がつきにくいことや、敗血症や髄膜炎、中枢神経症状などを引き起こすこと(リステリア症)があります。

妊婦さんが感染すると、流産早産、新生児に影響を及ぼす可能性が指摘されています。(参考文献1)

妊婦さんは発症した場合、発熱、悪寒、背部痛を主な症状として、赤ちゃんが出生後数日で死亡するとされています。

検査

患者の髄液、血液などからリステリア・モノサイトゲネスを検出することで診断します。

治療

ペニシリン系などの抗生物質の投与がなされます。

セフェム系は無効とされています。(参考文献2)

どうしても生ハムを食べたいときは?

妊娠中にどうしても生ハムが食べたくなったら、火を通して食べるしかありませんね。

そうすると、生ハムではなくなってしまいますが、ママと赤ちゃんの安全を守るためには仕方ありません。

生ハムを食べるのは、産後の楽しみに取っておけるといいですね。

妊婦さんにとって安全な食事を心がける

安全な食事を心がけることは、妊娠していなくても普段から大事なことです。

ここでは、妊娠中は特に気をつけてほしいポイントをお話します。

どの食品が安全か確認しましょう

妊娠中に食べてもいいもの、食べてない方が良いもの、注意が必要なものなどがあります。

どんなものを食べない方が良いのか、どんな注意が必要なのかを確認しておきましょう。

基本的に、火が十分に通ったものを選びましょう。

新鮮なものを選びましょう

新鮮なものを選ぶようにして、よく加熱されているかどうかを確認しましょう。

妊娠中は、抵抗力が弱くなっていますので食中毒を起こしやすい状態であることを覚えておきましょう。

加熱しましょう

よく加熱されているかどうかを確認するようにしましょう。

妊娠中は、抵抗力が落ちていますので、火が通っているものを食べても、食中毒になったり体調をくずしたりしやすい状態です。

料理したら早く食べましょう

料理したものは、できるだけ早く食べましょう。

料理して時間がたってしまうと、細菌が繁殖しやすくなります。

「買ったらできるだけ早く料理(加熱)する」「料理(加熱)したものはできるだけ早く食べる」ことを心がけるといいですね。

時間がたったものは処分しましょう

料理して時間がたってしまったものは、思い切って処分しましょう。

特に梅雨の時期や夏には、温度や湿度が上がるため食べ物が傷みやすくなり、食中毒が心配です。

冷蔵庫を過信しないで

リステリア菌は、冷蔵庫に保存していても繁殖するものもありますので、注意が必要です。

「冷蔵庫に入れていたから大丈夫」と思わず、早めに料理して食べましょう。

清潔を保ちましょう

料理に使用する器具や、料理する人の手を清潔にしてくださいね。

手洗いはもちろん、「肉や魚などを調理するまな板は、生野菜を切るものとは別にする」「鍋や調理台、ふきんなどを清潔に使用する」ことも心がけると良いでしょう。
念のために、熱湯消毒をするのもいいですね。

保冷剤と保冷バッグを利用しましょう

買った食品は、保冷剤や保冷バッグを利用して、できるだけ冷やして持って帰り、すぐに冷蔵庫へ入れるようにしましょう。

まとめ

生ハムは、トキソプラズマやリステリアに感染する可能性があるため、妊娠中には食べないほうが良いとされています。

妊娠中には、他にも食べない方が良いものや、注意が必要な食べ物がいくつかありますね。

色々と制限があって大変ですが、妊娠中は火が通ったものを選ぶようにして、生ハムは産後の楽しみにとっておきましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省 リステリアによる食中毒
  2. 国立感染症研究所 リステリア・モノサイトげネス感染症とは