授乳中に食べてはいけないものや注意点など【看護師が解説】

0歳男の子授乳

母乳は、血液から作られています。

そのため授乳期間中は、いつもよりも多くのエネルギーを必要とします。

母乳は赤ちゃんの成長にとって大切なものです。

そのために、食事が母乳にどのような影響を及ぼすのかを知る必要があります。

しかし、質の良い母乳のために何を食べればよいのか、また逆に母乳の出を悪くする食べ物は何なのか悩むこともありますよね?

では赤ちゃんのために、どのような食事を心がければよいのでしょうか?

これから、授乳中に取りたい食べ物と上手なおやつの食べ方について、さらに控えるべき食べ物についても詳しく紹介します。

また、授乳中に起こりやすい「乳腺炎」の原因や症状、予防方法についても詳しく解説します。

母乳栄養とは

3ヶ月女の子授乳

母乳栄養は、ママと赤ちゃんの両方に利点があります。

赤ちゃんの利点は、免疫力が高くなる、ミルクに比べて消化しやすく負担が少ない、アレルギーを起こしにくいことがあげられます。

一方、ママにとっては、母体の回復が促されること、妊娠中に増えた体重が減りやすいこと、さらに赤ちゃんとの関係を良好にすることが利点としてあげられます。

栄養の基本

授乳中は、赤ちゃんの成長のためにより多くのエネルギーと栄養を必要とします。

この時注意すべきなのは、エネルギーを増やすだけでなく、食事のバランスを考えること。

しかし、バランスの良い食事といっても、献立を考えるのはなかなか難しいですよね?

厚生労働省の「妊産婦のための食事バランスガイド」を活用してみましょう。

食事バランスガイドは、コマに例えて1日に必要な食事の目安を示したものです。

「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」に分けられており、これを組み合わせて食事を構成します。

これは、料理を「1つ」と考え、必要な栄養を必要な分、組み合わせるだけで簡単に活用できるため便利です。

主食について

主食は、ご飯やパン、麺など、食事の中心となるものです。

主菜に含まれる炭水化物は、体を動かすエネルギーとなる大切なものです。

1つ分の目安は、ご飯小盛り1杯、食パン1枚、ロールパン2個となります。

1日分の摂取量は5〜7つ分ですが、授乳期は1つ分プラスします。

副菜

野菜には、ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、ママと赤ちゃんの健康維持に欠かすことのできないものです。

野菜の1日の摂取量は350g以上とされていますが、足りないのが現状です。

この量を毎日食べるためには、さまざまな料理に使用するなどの工夫が必要です。

小鉢1皿分を1つ分と考え、1日6〜7つ分食べるようにしましょう。

野菜たっぷりのスープなどは、野菜をたくさん食べることができるうえ、体も温まるためおすすめの料理方法です。

主菜

肉、魚、大豆製品、卵は、体を作るものになるたんぱく質が豊富に含まれています。

妊娠中から貧血気味のママは、意識して赤身の肉や魚を食べるようにすると貧血の改善に役立ちますよ。

1つ分の目安は、納豆1パック、目玉焼き1個分です。

焼き魚やスクランブルエッグは2つ分になり、ハンバーグや唐揚げは3つ分になります。

授乳中は4〜6皿分が目安ですが、取りすぎないように注意しましょう。

牛乳・乳製品

牛乳や乳製品にはカルシウムが豊富に含まれています。

日本人はカルシウムの摂取が少ないと言われています。

また、授乳期は一時的にママの骨量が減少しやすいため、意識して取るようにしましょう。

カルシウムは大豆や小魚などにも含まれていますが、牛乳や乳製品の方が吸収率が良いと言われています。

1つ分の目安は、牛乳コップ半分、ヨーグルト1カップです。

果物

ビタミンやカリウムが豊富に含まれている果物は、おやつにもおすすめです。

1つ分は、みかん1個、リンゴ半分、ぶどう半房になります。

1日の摂取目安は3つ分となります。

授乳中に良い食べ物

授乳中のママは、いつもより多くのエネルギーや栄養を必要とします。

赤ちゃんに母乳をあげるためには、バランスの良い食事が基本ですが、母乳の質を良くするために食べて欲しい食べ物もあります。

どのようなものを食べればよいのか詳しくみていきましょう。

和食にしましょう

母乳は、ママの血液から作られています。

食事の内容よっては、血液がドロドロになり流れが悪くなってしまいます。

一般的に洋食やファーストフードは、塩分や脂分が多いため血液の流れを悪くすると言われています。

一方和食は、油の使用量が少なくヘルシーであるため、授乳中のママの食事に適しています。

しかし和食の中でも煮物は、塩分を多く含むため取りすぎないよう注意しましょう。

おすすめしたい食べ物

授乳中におすすめしたい食べ物は、根菜類、芋類、青菜類、海藻類や、発酵食品です。

大根やゴボウなどの根菜類や寒い地域でとれる野菜には、体を温める効果があります。

生野菜は体を冷やすため控えたい食べ物ですが、ほうれん草などの青菜は母乳の質を良くすることに加え、鉄分も多く含まれるため積極的に食べるようにしましょう。

また、ネギやしょうがなどの薬味にも体を温める作用があります。

血液をサラサラにする効果があるヨーグルトや納豆などの発酵食品も、毎日食べるようにしましょう。

水分をしっかりとりましょう

授乳中は、水分をしっかりととることが大切です。

しかし、冷たい飲み物を飲むと、体が冷えると血流が悪くなってしまいます。

なるべく冷たい飲み物を控え、温かい飲み物を取るようにしましょう。

母乳の分泌を促すと言われるローズヒップやルイボスティーなどのハーブティーや、ノンカフェインのお茶などを選びましょう。

授乳中に良くない食べ物

授乳中は、質の良い母乳を作るために、バランスの良い食事を取ることが大切であることはわかりましたね?

食べ物によっては、母乳の分泌量や良くない影響を及ぼすものもあります。

授乳中は控えた方がよい食べ物や飲み物をみていきましょう。

控えた方がいい食べ物

油分の多い揚げ物や肉類は、血液の流れを悪くなるため控えて欲しい食べ物です。

また、体を冷やすと言われている白砂糖を使用した、洋菓子やチョコレートなどや甘い飲み物は、控えるようにしましょう。

スナック菓子は、油であげているものが多いうえ、塩分や添加物も多く含まれています。

これらを食べると、母乳の味にも影響すると言われています。

カフェイン

コーヒーや紅茶に含まれるカフェインは、15〜30分で母乳に移行すると言われています。

赤ちゃんがカフェインを摂ると情緒不安定になり、泣く回数が増える、寝つきが悪くなるなどの症状が現れることもあります。

控えることが望ましいのですが、どうしても飲みたい場合は、1日1〜2杯程度までとし、授乳後に飲むようにしましょう。

できれば、ノンカフェインのコーヒーや紅茶に変更することをおすすめします。

アルコール

血液中のアルコール濃度は、飲酒30〜60分後に濃くなります。

ママが飲んだアルコール量の約2%が母乳に移行すると言われています。

アルコールを含んだ母乳は、赤ちゃんにとってよいものではありません。

そのため授乳中は、赤ちゃんのために禁酒することをおすすめします。

ノンアルコールのビールやチューハイなどもありますが、中には微量のアルコールが含まれているものもあるため注意が必要です。

授乳中の上手な食べ方

産後は赤ちゃん中心の生活になるため、食事の時間が不規則になりがちです。

しかし、質の良い母乳のために食生活を整えることはとても大切なことです。

さらに、赤ちゃんの成長に伴い開始になる離乳食や幼児食などは、子どもの食生活の基本となるものです。

もし自分の食事に偏りがある場合は、今のうちに理想的な食事に変更することによって自分や赤ちゃんのためにもなりますよ。

規則正しい食事

赤ちゃんの授乳のタイミングに合わせると、ママの食事時間がずれたり、時には食べられなかったりすることもあるでしょう。

しかし1食欠食するだけでも、その日に必要なエネルギーや栄養の確保が難しくなってしまいます。

ママの体が栄養不足になると、母乳の量が減少や栄養不足の母乳になるため赤ちゃんの成長にも影響が出ることも。

たとえママが栄養不足だとしても、体の蓄えを利用してなんとか母乳を作ろうとします。

すると、貧血が悪化したり体重が減ったりしてしまうこともあります。

授乳中は、なるべく規則正しくバランスの良い食事をとることを心がけましょう。

そのために、すぐに食べられるようおにぎりなどを準備する、食べやすく果物を切っておくなど工夫するとよいでしょう。

上手にオヤツを食べる

おやつは楽しみとして食べることが多いのですが、授乳中は食事で不足したものを補う意味でとても大切なものです。

おやつに向いているものは、小さめのおにぎりやパン、チーズやヨーグルトなどの乳製品です。

この時、なるべく添加物や砂糖が使用されている食べ物は控えるようにしましょう。

また、果物も糖分が多いため取りすぎないよう気をつける必要があります。

授乳の合間に、すぐ食べられるように準備しておくとよいでしょう。

たまに食べたいものを食べるために

赤ちゃん中心の生活を送り、母乳のために好きなものを我慢し続けるのは辛いことですよね?

理解していても「たまには我慢せず食べたいもの食べたい!」そう思うこともあるでしょう。

時には、我慢せずに食べたいものを食べてもいいのですよ。

母乳を保存しよう

授乳中には控えたいものを食べたい時は、母乳の保存しておき、それを与えるようにします。

母乳の保存方法は、冷蔵と冷凍の2種類があります。

どちらの方法でも、清潔な状態で保存すること、人肌程度に温めて使用すること、残ったものは使用しないこと、なるべく早く使うことを守りましょう。

冷蔵の場合は、搾乳した母乳を哺乳瓶に入れ、蓋をして保存します。

保存の時間はなるべく短時間とし、遅くても72時間以内に使用するようにしましょう。

冷凍の場合は、専用の母乳パックに1回分の量を入れ、空気を抜いて保存します。

自然解凍または30〜40℃のお湯で解凍して使用しましょう。

ミルクや哺乳瓶に慣れる

母乳を飲んでいる赤ちゃんにとって、ミルクの味や哺乳瓶の乳首は慣れないものであるため、初めて使用する時は嫌がることもあるでしょう。

そのため赤ちゃんの機嫌がよい時に、哺乳瓶やミルクを試し、徐々に慣れてもらうことが大切です。

ミルクの温度や銘柄、また乳首の形や材質など、赤ちゃんそれぞれに好みがあるのでさまざま試してみるとよいでしょう。

乳腺炎

乳腺に母乳が残ると、炎症を起こしてしまうことがあります。

炎症を起こした部分は、熱を持ったりしこりができたりするため、授乳時に痛みを感じることもあります。

炎症が起こる原因や、予防の方法について詳しく解説します。

乳腺炎とは

乳腺炎が起こる主な原因は、乳腺に母乳が残ることです。

授乳中に起こりやすいのは、急性うっ滞性乳腺炎と急性化膿性乳腺炎です。

この2種類の原因と症状について詳しくみていきましょう。

急性うっ滞性乳腺炎について

急性うっ滞性乳腺炎は、乳腺に母乳がたまることで炎症を起こすものです。

主な症状は、炎症を起こしている部位に痛みや熱感が生じるほか、しこりができることもあります。

また、38.5℃以上の高熱や、関節の痛みやだるさなどの症状が出ることもあります。

急性うっ滞性が起こる原因

乳腺に母乳がたまる原因4つについて詳しく説明します。

1つ目は、授乳間隔が適切でないことです。

授乳の間隔が不規則だと、母乳が作られる量やタイミングと授乳のタイミングが合わないことによって、乳腺内に母乳が残りやすくなります。

2つ目は、飲み残しがあることです。

赤ちゃんが飲む量が少なく余ってしまう場合や、飲み方によって一部の乳腺が空にならない場合があります。

3つ目は、母乳の通り道が十分開いていないことです。

母乳は乳腺から管を通り、乳首の穴である乳管から分泌されます。

この通り道が狭いことや、十分に開いていない場合は、母乳の分泌が妨げられ詰まりやすくなってしまいます。

4つ目は、乳房の圧迫によるものです。

きついブラジャーの使用などにより、乳房が圧迫されると母乳の分泌が妨げられてしまいます。

急性化膿性乳腺炎について

急性化膿性乳腺炎は、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの細菌が感染することによって発症します。

授乳開始直後は、ママも赤ちゃんも授乳に慣れていません。

そのため、乳首が切れたり傷がついたりすることもしばしばです。

するとそこに細菌が感染し、それが乳腺内にまで広がることによって乳腺炎が起こります。

急性化膿性乳腺炎の症状は、急性うっ滞性乳腺炎と同様、発熱、痛み、熱感などの症状が現れます。

また、乳腺内が化膿することにより、膿のような母乳が出ることもあります。

乳腺炎になってしまった時のセルフケア

乳腺炎になると、痛みや高熱が出ることが多いため、赤ちゃんのお世話も辛くなってしまいますよね?

しかし、熱があるからといってゆっくりと休むことができないこともあります。

症状が出たら、まずは無理せず受診し、適切な治療を受けることが大切です。

治療を継続しながら、自分でできる対処方法について紹介します。

赤ちゃんに飲んでもらいましょう

乳腺炎になると、授乳の時にも痛みが生じることがあります。

しかし、たまった母乳をそのままにしておいても、乳腺炎は改善しません。

一番よいのは、赤ちゃんに飲んでもらうこと。

望ましいとされる授乳間隔は2〜3時間毎で、授乳にかける時間は片側10分以内です。

長くても20分以内に授乳を終わらせましょう。

搾乳しましょう

授乳できない場合や授乳のあと残った母乳は、そのままにせずに搾乳しましょう。

乳腺内に母乳が残っていると、炎症は落ち着きません。

授乳の度に、乳腺内が空になるよう心がけましょう。

マッサージをしましょう

乳房マッサージには、血流を良くすることにより母乳の分泌を促す効果があります。

乳房マッサージによって、乳腺内に滞っている母乳が出やすくなります。

しかし、炎症が強い時の乳房マッサージはおすすめできません。

また、自己流のマッサージでは十分な効果が得られないこともあります。

その時は、助産師さんのマッサージを受けることをおすすめします。

乳房を圧迫しない

乳房が圧迫されると、血流が滞って母乳の分泌が妨げられてしまいます。

授乳用のブラジャーや締め付けの少ないブラジャーを使用しましょう。

また、締め付けの強い服も避けるようにします。

授乳の合間には、ストレッチなどで体を動かして血流をよくしましょう。

クーリングしましょう

炎症が起こっている部位を冷やすと、炎症反応が抑えられるため、痛みや熱感が軽減されます。

氷と水を入れた氷嚢がおすすめですが、ない場合は保冷剤を使用しましょう。

クーリングする場合は、タオルなどを当て、その上から冷やすようにしましょう。

冷やしすぎると血流が悪くなり、逆効果になってしまうこともあるため注意が必要です。

長時間のクーリングも血流を悪くし、母乳の分泌を妨げてしまうため注意しましょう。

受診が必要な場合も…

炎症が強く、高熱が出たり母乳に血や膿が混じったりする時は、婦人科の受診が必要です。

病院では、必要に応じて解熱剤や抗生物質が処方されます。

解熱剤について

解熱剤は、熱を下げる働きと痛みを軽減する効果があります。

高熱の持続や痛みが強い場合は、我慢せずに薬を飲みましょう。

この時に注意が必要なのは、薬の成分が母乳に移行しないものを選ぶことです。

病院で処方される解熱剤は、アセトアミノフェンやイブプロフェンになります。

これらの薬は、成分が母乳に移行しにくいとされています。

医師に指示通りに内服することによって、安心して使用することができます。

抗生物質について

乳腺の炎症が強く、細菌感染が疑われる場合は、細菌をやっつける働きがある抗生物質が処方されます。

処方される抗生剤は、主にセフェム系と言われるものになります。

これらの薬は、授乳中でも内服することができるものです。

炎症を早めに抑えるために必要な薬ですので、医師の指示に従って内服しましょう。

乳腺炎と食事の関係

乳腺炎と食事の関係性については、関係があるという意見とそうではないという意見に分かれています。

特に塩分や脂肪分、糖分の多い食べ物を食べると、乳腺炎になりやすいと言われていますが、はっきりとした根拠はないのが実情です。

しかし、ママの食事が母乳を通じて赤ちゃんの栄養となるのですから、バランスのよい食事を心がけるに越したことはないでしょう。

乳腺炎の予防

乳腺炎の原因は、乳腺内に母乳が残ることです。

乳腺炎の予防方法についてみていきましょう。

  1. 授乳で残った母乳は搾乳する
  2. 授乳する時は、抱き方を変えて全ての乳腺からまんべんなく飲んでもらう
  3. 規則正しい授乳間隔にする
  4. 締め付けの強い下着や服を避ける
  5. 水分を十分とる
  6. バランスのよい食事を心がける
  7. できる限り、塩分・脂肪分・糖分の多い食べ物を控える

授乳中に気をつけたいこと

母乳は、ママの血液から作られています。

薬の成分は血液中を流れて、効果を発揮します。

そのため、母乳に移行した薬の成分が、授乳によって赤ちゃんに影響を及ぼす可能性が0であるとは言い切れません。

授乳中は、赤ちゃんへの影響も考慮した上で薬を使用することが大切です。

薬について

薬の成分が母乳に移行すると、赤ちゃんにも影響が出る可能性があります。

体調がすぐれず「薬をのみたい!」ということもありますよね?

その場合は、市販薬ではなく医師に処方してもらった薬を飲むようにしましょう。

受診の際は、必ず授乳中であることを医師に伝えることが大切です。

湿布や痛み止めの軟膏について

湿布を貼ったり軟膏を塗ったりすると、成分が皮膚から吸収されて痛みを軽減します。

これらの成分が母乳に移行する量は少ないため、内服薬に比べて心配はいらないという考え方もあります。

しかし、痛み止めの成分によっては、赤ちゃんに影響を及ぼす恐れがあると考えられているものもあるため注意が必要です。

薬と同様に、授乳中であることを伝えた上で処方してもらうことをおすすめします。

まとめ

栄養豊富な母乳は、赤ちゃんにとって最適な飲み物です。

母乳は血液から作られているため、ママの食事によって含まれる栄養や分泌量は変わります。

質の良い母乳を作るためには、栄養を考慮したバランスの良い食事が大切となります。

また、授乳中に起こりやすい乳腺炎は、適切な授乳間隔と乳腺を空にすることを心掛けることによって予防することができます。