赤ちゃんの歯がための必要性と注意点【歯科医が解説】

10ヶ月女の子 歯固め おもちゃ おしゃぶり

赤ちゃんが使う『歯がため』ってご存知ですか?

歯がためはおしゃぶりほどに、その存在を知られているわけではないようです。

歯がためというものを聞いたことすらない方もおられれば、歯がためとおしゃぶりは同じものだと思っていた方もいらっしゃるそうです。

しかし、歯がためとおしゃぶりとでは、その形も用途も全く異なるものです。

そこで、今回は、歯がためとは何のために使うものなのか、歯がための違いから選び方までわかりやすく解説します。

歯がためとは?

歯がためとは、一体どのようなもので、どんな目的で使うものなのでしょうか。

歯がためとはどのようなもの?

赤ちゃんは、基本的に歯が全くない状態で生まれてきます。最初に生えてくるのは下顎の前歯である場合がほとんどで、生後4〜6ヶ月頃からが多いです。

歯がないところに新しく生えてくるときは、歯茎を押し広げるようにして生えてきますので、これが原因で歯茎がムズムズとしてくるようです。

赤ちゃんは、ムズムズするという違和感を感じても言葉にして訴える手段もなく、その気持ちの悪さを泣くことでアピールするほかありません。

そこで歯がためを噛ませると泣き止むことから、ムズムズ感が解消できるものと思われ、その目的のために使われています。

歯がためを使う時期

生後何ヶ月頃から赤ちゃんに歯がためを与えればいいのでしょうか。

正確な月齢が決まっているわけではないのですが、一般に生後4〜6ヶ月くらいからが勧められています。

それは、この時期に乳歯が生え始めるからです。歯の生え始める時期は、個人差が大きく、東京歯科大学名誉教授の町田幸雄氏によると1歳5ヶ月くらいまで遅くなった例があるそうです。

ですので、生後4〜6ヶ月はあくまでも目安です。

赤ちゃんの様子を見ていて、歯の生え始め時期にぐずぐず言うようになったり、いろいろなものを噛むような癖が現れたりしてから使い始めてもらっても大丈夫です。

使い終わりの時期は、特に示されていませんが、必要がなくなれば自然に使わなくなりますので、それを待てばいいとされています。

歯がための使い方

歯がためは赤ちゃんがどのような目的に使うといいのでしょうか。

ぐずぐず対策

乳歯が生え始めた頃にぐずぐずしているなら、一度歯がためを使ってみてください。そんな時期のぐずぐず対策に、歯がためは効果的です。

なぜかずっとぐずぐず言っている、手で歯茎を触りたがる、何かつけて噛みつこうする、意味もなく口をモゴモゴさせる、このような時は乳歯の生え始めたことによる、気持ちの悪さが原因である可能性が高いです。

こうした症状を認める場合は、歯がためを使ってみてください。もし、赤ちゃんの機嫌がよくなると、歯の生えはじめが原因ということがはっきりしますね。

噛む練習

乳歯が生え始める頃から、赤ちゃんの食事形態は、母乳から離乳食に移行していきます。

母乳は『吸い』ますが、離乳食は『噛み』ますので、食べ方が全く異なり、赤ちゃんは『噛む』という新しい食べ方を学んでいく必要に迫られます。

大人は何の気なしに噛んで食べていますが、赤ちゃんには噛むという動作を身につけるためのトレーニングが必要なのです。

そんなときに、歯がためを使うと、ものを噛むトレーニングになりますので、離乳食が始まる前に使ってみてください。

歯がための注意

歯がための使用上注意点としては、他の赤ちゃんが使った歯がためを使ったり、反対に使った歯がためを他の赤ちゃんが使うことがないようにするということです。

むし歯の原因であるミュータンス菌は、唾液を介して広がっていきます。

他の赤ちゃんがすでにミュータンス菌を持っていれば、その唾液に濡れた歯がためを通して、ミュータンス菌に感染することになります。

ご自身の赤ちゃんがミュータンス菌をもらわないためにも、他の赤ちゃんの唾液に触れさせないように注意してください。

おしゃぶりとは違うの?

おしゃぶりも歯がためと同じく、お口に入れて使います。しかし、その形も目的も全く異なります。

硬さが違う

おしゃぶりは、母親の乳首をイメージして作られています。母乳を吸う時基本的に噛むことはありません。

噛むことを想定していないので、軟らかく作られています。一方、歯がためは、噛むことを前提に作られていますので、おしゃぶりよりもかなり硬く、しっかりとした咬みごたえがあります。

目的が違う

赤ちゃんは母親の乳首を口にくわえると、精神的に落ち着く傾向があります。

それは、ぐずっていた赤ちゃんが泣き止むことからも裏付けられています。

おしゃぶりにも乳首と同じ効果があり、おしゃぶりを使うと、気持ちが落ち着きリラックスできるようです。

一方、歯がためは、歯の生えはじめの気持ち悪さや噛むトレーニングに使うものです。精神的なリラックス感を求めるためのものではありません。

精神的に落ち着かせたいときにはおしゃぶりを、歯の生えはじめの違和感や噛むトレーニングには歯がためを使いましょう。

歯がための選び方

女性

では、歯がための選び方を解説します。

大きさ

基本的に歯がためは赤ちゃんが使うために作られていますので、平均的なお口や手のサイズを元にしてデザインされています。

しかし、赤ちゃんのお口や手のサイズは、赤ちゃんごとに違いますし、同じ子でも月齢によっても異なります。

通信販売で購入するのではなく、店舗に足を運んで実際のものをみてみて大きさを確認する方がいいでしょう。

なお、外国製は赤ちゃんが大きいこともあり、歯がためそのものが大きい傾向があります。

デザインがいいからと思っても、外国製をインターネットで購入するのは、あまりおすすめできません。

お口に入れるものですから、清潔に保てることが重要です。

洗いやすさを考えると、シンプルなデザインの歯がためにするほうがいいでしょうね。

赤ちゃんが持ちやすいのも、やはりシンプルなデザインの歯がためのようです。

素材

歯がための素材は、いろいろな種類があります。

木や天然ゴムのような自然な素材で出来ている歯がためから、プラスチック製のものまでいろいろあります。

基本的に赤ちゃんが使う前提の製品ですから、危険な素材はまず使われていません。

天然素材である木で作られた歯がためは、アレルギーも起こりませんから安心ですが、硬すぎるのと赤ちゃんのよだれがしみ込んでしまうのが欠点です。

耐水加工がしてある製品があればそちらを選ぶといいでしょう。

天然ゴムは、稀にアレルギー反応を示すことがあります。なんらかのアレルギーがあるなら避けた方がいいでしょう。

歯がためクッキー

歯がためクッキーというおやつはご存知でしょうか?

歯がためのような硬いクッキーのことです。

レシピサイトのクックパッドなどで検索してみると、いろいろな種類の歯がためクッキーのレシピが掲載されています。

むし歯にならないように砂糖を使わないようにした歯がためクッキーや、たまごや牛乳にアレルギーがあっても使えるたまごも牛乳も使わないでつくる歯がためクッキーなどいろいろあります。

味付けも甘酒を使ったものや、きな粉、おみそを使ったものなど考案者によっていろいろ工夫してあり、みているだけでも面白いですよ。

歯がためのお手入れ

歯がためは、お口に入れて使うものですから、やはり衛生面にも注意が必要ですね。

清潔にしておかなければならない理由

赤ちゃんは、おおむね生後6ヶ月目までは母親から免疫力を受け取っているので、未成熟ながらも風邪をひいたりするようなことは滅多にありません。

しかし、この月齢を過ぎたあたりから、免疫細胞を受け取ることが出来なくなるので、体調を崩しやすくなります。

そうです、この時期がちょうど歯がためを使い始める時期なのです。

ですので、使った後は、歯がためを消毒してきれいな状態にするようにしてください。

具体的な方法は、歯がためのパッケージに記載してあると思われますので、参照してください。もし、抗菌タイプが選べるのなら、そちらを選ぶといいでしょう。

消毒方法

歯がためは、その素材によって最適な消毒方法が異なります。

地面に落としたり、他の赤ちゃんがくわえたりしなければ、つまり通常の使用状況なら、歯がためを洗って乾燥させるだけで、十分きれいになります。

しかし、それ以外の場合では、洗浄だけでなく消毒もした方がいいでしょう。

さまざまな消毒法がある医療機関とは異なり、自宅で出来る消毒法は、熱湯消毒と薬液消毒の2種類だけです。

熱湯消毒

熱湯での消毒は、昔から行なわれている消毒法です。煮沸消毒ともよばれます。

熱湯消毒は、熱湯の取扱いさえ間違えなければ、どこでも簡単に、そして安全に行なうことが出来る手軽な方法です。

具体的には、沸騰したお湯に、5分程度浸してもらえれば消毒完了です。

薬液消毒

次亜塩素酸ナトリウムという薬剤で消毒するなどの方法があります。

次亜塩素酸ナトリウムというと、なにやら難しい薬に聞こえますが、その商品名はミルトン®やキッチンハイター®などです。

普通にドラッグストアやスーパーマーケットで発売されていますよね。次亜塩素酸ナトリウムは、意外と比較的身近にある消毒薬なのです。

安全性については、製品に添付してある説明書に従って使ってもらえれば大丈夫です。

次亜塩素酸ナトリウムを使って消毒してもよい歯がためなら、これを使えば効果的に消毒できますよ。

消毒をするときの注意点

歯がための素材によっては熱に弱かったり、薬剤で溶け出したりすることがあります。つまり、上記に説明した方法が適さない場合があるわけです。

消毒をする前に、歯がための説明書をよく読み、使っている歯がために適した手段で消毒するようにしてください。

まとめ

今回は、歯がためについて解説しました。

歯がためは、歯が生え始めてきた赤ちゃんに噛ませるために与えるもので、歯が生えてくるときのムズムズ感を解消させたり、噛み方を覚えたりするたいへん便利な器具です。

噛むという動作には脳を刺激する一面もあり、脳の活性化にも効果があります。

歯がためを使ったことがない方は、この機会に一度お試しになってはいかがでしょうか。