子供の虫歯の対策・予防方法・治療【歯科医が解説】

子どもの歯にもむし歯は発生します。子どものむし歯のリスクは、大人とは異なるリスクをはらんでいます。

子どもの永久歯は、その後数十年間にわたって必要とされる歯ですから、生え手間がない頃からむし歯になるのは何としてでも防ぎたいところです。

では、子どものむし歯を防いで、むし歯から歯を守るためにはどうすればいいのでしょうか。

子どものむし歯の特徴から、治療法、そして気になる予防法まで、わかりやすく解説します。

子供の虫歯

まずは、子どものむし歯を理解しましょう。

乳歯の虫歯とは?

乳歯と永久歯では、その構造に違いがあります。

乳歯は、永久歯と比べて歯の最表層部のエナメル質が薄く、そして軟らかいためむし歯になりやすいだけでなく、一旦むし歯になると進行が早いという特徴があります。

また、子どもは痛覚とよばれる痛みを感じる神経の発育が未成熟なので、大人と比べると痛みを感じにくい性質があります。

そのために、むし歯になっても痛みを感じにくいので、ある程度進行しないとむし歯に気がつかないことも珍しくありません。

何歳から虫歯になる?

赤ちゃんでもむし歯になります。生えてきたら、常にむし歯になるリスクをはらんでいるのです。

特に、むし歯になりやすい時期は、乳歯も永久歯も生えてきてから2〜3年の間です。

この間は、歯の構造が未成熟なので弱いために、むし歯になりやすいのです。

歯は、生後6ヶ月頃から生え始め、2歳半ごろには乳歯が生え揃います。

その後2〜3年のむし歯になりやすい時期を終了すると、まもなく永久歯への生え変わりの時期になります。

その永久歯がすべて生えそろって落ち着くのは10代の終わりです。

したがって、20歳前後までは常にいずれかの歯がむし歯になりやすい状態にあるといえますね。

乳歯の虫歯

乳歯はいずれは永久歯に取って代われます。

稀に、生え変わるべき永久歯がないことがあり、永久歯の代用として残る乳歯がありますが、基本的に稀です。

スペースが足りなくなる

生え変わるからといって、乳歯のむし歯を放置することはよくないです。

乳歯のむし歯が進行すると歯が欠けてしまうため、小さくなってしまいます。

そのまま放置すると、歯と歯の間が狭くなります。

すると、後から生えてくる永久歯のスペースが足りなくなり、永久歯がきれいに並ばなくなってしまいます。

永久歯の成長に影響する

乳歯のむし歯が進行し、乳歯の歯根の先に膿がたまってくるようになると、その先に埋まっている永久歯に細菌感染を生じることがあります。

この永久歯は、成長途上の歯です。

歯の成長の途中に細菌感染が起こると、歯冠の形や色がおかしくなるエナメル質の形成不全を起こすなど、いろいろな悪影響を及ぼします。

子供の虫歯の原因

子供にどうしてむし歯が生じるのでしょうか。

子供の虫歯の原因

むし歯の原因は、ストレプトコッカス・ミュータンスなどのいわゆるむし歯菌にあります。

むし歯菌が、お口の中の磨き残しなどを利用して、乳酸という酸を作り出します。

歯の最表層は、エナメル質とよばれているのですが、このエナメル質は実は骨よりも硬く、体の中では最も硬い物質と言われています。

硬くて噛む時にかかってくる力にとても強いのですが、酸には弱いのです。

そのために、エナメル質が溶かされて、穴が開いていきます。こうしてむし歯が生じます。

子供の虫歯の予防方法

では、子供のむし歯を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。

歯ブラシ

プラークコントロールという言葉を聞いたことありませんか?

プラークとは、細菌の塊のことで、むし歯菌もここにいます。

プラークコントロールとは、この細菌の塊であるプラークを取り除くを意味していますが、そのためには歯ブラシを使って歯磨きをすることが欠かせません。

つまり、歯磨きはむし歯の原因菌をお口の中から取り除くために行っているのです。

むし歯予防の第一歩は、歯磨きによってプラークを除去するところから始まります。

定期検診

仕上げ磨きの際に、むし歯がないかどれほどしっかりチェックしているつもりでも、例えば上顎の奥歯など、どうしても見えないところがあります。

比較的見えやすい下顎であっても歯と歯の間は見えにくいです。

そんなところは、やはり歯科医院で診てもらうのが一番確実です。

そこで、むし歯をできるだけ早期に発見するために、定期的に歯科医院で検診を受けることをお勧めします。

定期検診に受診すると歯みがきのチェックもしてもらえますよ。

伝染らないために

むし歯の原因であるストレプトコッカス・ミュータンスなどのむし歯菌は、生まれたのちに他の人の唾液を介して感染し、お口の中に生着します。

そこで、少なくとも3歳ごろまでは、親兄弟を含め、他の人の唾液に触れさせないようにすることで、むし歯菌に感染させないようにしましょう。

そのためには、他の人が口に入れた食べ物やお箸、スプーンやフォークは、絶対にお口に入れないようにしてください。

そして、大皿盛りのお料理を取り分ける時も、必ず取り箸を使うようにしましょう。

フッ素

フッ素には、歯をむし歯菌の酸性にする酸に対して強くしたり、酸で溶かされた部分を修復する再石灰化を促進したりする効果があります。

他にも、むし歯菌の活動を抑え、酸を作りにくくさせる効果もあり、むし歯予防にとても効果的です。

そこで数ヶ月おきに歯科医院で

  • フッ素を塗ってもらったり
  • フッ素入りの歯磨き粉で歯を磨く
  • 寝る前にフッ素の洗口剤でうがいをするなどすることで

歯を強くして、むし歯を予防するようにしましょう。

子供の虫歯治療

歯科医院ではどのようにむし歯を治療するのでしょうか。

小さなむし歯の場合

歯の神経にまで至らないような小さなむし歯の場合は、

  • その部分だけを削って
  • コンポジットレジンとよばれるプラスチックを詰めたり
  • 歯型をとって金属製の詰めものをつけたりする

治療が行なわれます。

このような小さなむし歯の治療の場合は、麻酔の注射は必要でない場合が多いです。

また、子どもの年齢やむし歯のサイズや場所などによっては削って詰めるのではなく、サホライドとよばれるむし歯の進行を抑える薬の塗布が選ばれることもあります。

神経にまですすんだむし歯の場合

歯の神経の近くまで進んだようなむし歯の場合は、歯の神経を取り除く治療が行なわれます。

この治療では、神経を触るので麻酔の注射が欠かせません。

歯の神経を取り除き、その後何回か薬を交換したうえで、取り除いた神経の部分を詰めます。

神経の部分を詰めた後は、被せものを入れて噛み合わせを回復させます。

ですので、治療の日数がとても長くなります。

かなり大きなむし歯の場合

歯冠の大部分を失うような大きなむし歯になると、残念ながら抜歯しなければなりません。

永久歯のように、土台を立てて被せるような治療は乳歯には出来ないからです。

抜歯した後は、隣の乳歯が倒れ込んでくることがあるので、倒れ込んでこないように予防する処置を行なわなければなりません。

なぜなら、倒れ込んだままにしておくと、その後に生えてくる永久歯の並ぶスペースが無くなってしまうからです。

永久歯のスペースを確保する方法には、クラウンループという被せものを入れる方法や子ども用の入れ歯を作る方法などいろいろあります。

子供の虫歯治療の豆知識

子どものむし歯の豆知識について紹介しますね。

抜歯はよくある?

子どものむし歯であっても、相当すすんだ場合は抜歯しなければなりません。

もし、そのまま更にむし歯が進行すると、歯根の先に膿の袋を作るようになってしまいます。

歯根の先には永久歯が生えてくるのを待っています。

そこに、膿の袋から細菌感染が生じると、永久歯に悪影響を及ぼすからです。

ただし、適切な時期よりも早く抜歯をすると、永久歯の生えてくるスペースを失うことにもなりかねないので、抜歯しなければならない状態に至るまでにむし歯を治しておきましょう。

詰め物が取れやすい理由

むし歯治療では、むし歯になったところを削ってプラスチックや金属などの人工材料で詰める治療が行なわれます。

例えば金属製の人工材料は歯とくっつかないので、接着剤が必要になります。

この接着剤が溶けてくると外れてしまうのです。

また、歯科治療後に適切に歯を磨いてきれいな状態にしておかなければ、むし歯が再発しますが、困ったことに治したところの周囲に再発しやすい傾向があります。

そのため、そこでむし歯が再発すると、せっかく詰めたものが外れてしまうことになるのです。

虫歯になりやすい部分

むし歯は歯ならどこにでも生じるのですが、特に生じやすいところが、磨きにくいところです。

具体的には上顎の奥歯や歯と歯の間です。

上顎の奥歯は見えにくいですし、歯と歯の間は、物が挟まりやすいところです。

この他にも、前歯にむし歯が生じやすいです。

前歯はよく見えるところですから、磨きやすいですし、歯と歯の間に食べ物が挟まっていても気がつきやすいです。

そんな前歯にむし歯が起こりやすいのは、ジュースなどのあまり飲み物からの影響です。

虫歯になりやすい時期

歯は、生えた直後がもっともむし歯になりやすく、むし歯になりやすい傾向は生えてから2〜3年の間続きます。

また、生え変わりの時には、歯と歯の間隔や歯ぐきの形が変化しますので、挟まりやすくなったり、歯を磨きにくくなったりします。

生え変わりの時期にむし歯になりやすいといわれるのはこのためです。

乳歯が生え揃うのが2歳半くらいです。

それから2〜3年のむし歯のリスクが高い時期が過ぎると、今度は永久歯に生え変わる時期になります。

永久歯が生え揃い、生えた後2〜3年のむし歯のリスクが高い時期が過ぎると、10代も終わりの時期になります。

ですから、20歳前まではむし歯になりやすい時期ともいえますね。

乳歯の虫歯の色

むし歯の色といえばまず思いつくのは黒色だと思いますが、乳歯のむし歯で多いは白色や茶色です。

白色

乳歯は元々永久歯より白いのですが、歯の表面により白い斑点がついてくることがあります。

これは、脱灰とよばれる状態で、脱灰とは歯の表面がむし歯菌によって溶かされ始めた段階です。いわば初期むし歯です。

この状態では、削って詰めるような積極的な治療は行なわれません。

歯をしっかり磨いてきれいな状態に保っていれば、唾液の成分によって自然に治ることが期待されるからです。

これを再石灰化といいます。

脱灰された歯にフッ素を使うと、再石灰化が促進されるという効果もあります。

茶色

脱灰された歯のむし歯が、さらに進んだ状態の色が茶色です。

むし歯が茶色になったら、もう自然に治ることはありません。むし歯の部分を削って詰める治療が必要となります。

まとめ

大切な子どもがむし歯になってしまうことは、避けたいところです。

むし歯の原因は、むし歯菌が産生する酸にあります。

むし歯菌は、他人から感染して生着するものなので、なるべくなら感染しないように心がけてください。

その上でフッ素も併用してむし歯を予防していきましょう。

そして、もし、歯の色が変化したり、欠けたりしたところに気がつけば、乳歯のむし歯は進行しやすいので、早めに歯科医院を受診して治療してもらってください。