子供の頃に矯正をしておくメリットは?【歯科医が解説】

矯正歯科治療というと、10代後半から20歳後半くらいの年齢の人に歯の表面にブラケットという金具とワイヤーをつけているイメージが思い浮かんでくると思います。

しかし、歯並びや噛み合わせの悪さは、大人に限ったものではなく、子供にも十分起こりえます。

子供の歯並びが気になった時、いつごろから矯正歯科治療を受けるべきか、そもそも子供でも矯正歯科治療って受けられるのか、受けられるとしてどこに行けばいいのか、疑問に思ってしまいますよね。

そこで、子供の矯正歯科治療について、わかりやすく解説します。

子供の矯正とは

歯ブラシ

子供の矯正とは?

子供は、成長発育の段階にあるので、背も高くなりますし、顔つきも変わってきます。顎や歯も同じで、年とともに成長していきます。

子供の矯正歯科治療は、子供の成長発育を利用して、歯を並べたり、顎の骨の成長方向をコントロールしたりするところに特徴があります。

大人と子供の矯正の違い

大人は、歯はすべて生え終わっており、顎の成長も止まっています。

そのため、矯正歯科治療において、歯の大きさと顎の骨のサイズが合わないときは、歯を抜いたり、顎の骨きりの手術をしたりしなければならないことがあります。

しかし、子供の場合は、歯は生えている途中だったり、顎の骨も成長して大きくなっていっていたりします。

これを利用すると、歯が生えてくる時に、歯に合うように顎の骨の成長をコントロールしたり、埋もれて生えてきにくそうな歯を引っぱり出して生やしたりすることが出来ます。

つまり、抜歯や手術をしないでも歯をきれいに並べることが出来る可能性が高いのが、子供の矯正歯科治療の特徴です。

歯並びがいいから大丈夫?

子供の歯並びは、乳歯だけで構成される乳歯列期、乳歯と永久歯が混在している混合歯列期、永久歯に生え変わった永久歯列期にわけられます。

乳歯列期

歯並びや噛み合わせの異常が現れてくるのが、混合歯列期以降です。

言い換えれば、乳歯列期は歯並びや噛み合わせの異常が表面化しにくく、一見すると歯並びがいいと思われてしまうことがあります。

しかし、この時期には、指しゃぶりや口呼吸、爪咬みなどの癖が隠れていることがあります。

こうした癖は、後々の歯並びに悪影響を及ぼしてくるので、歯並びが良さそうに見えても注意が必要です。

混合歯列期以降

混合歯列期以降には、歯並びや噛み合わせの異常が現れやすくなります。

ところが、前歯の歯並びの異常はわかりやすくても、奥歯の場合はそうではありません。

ですので、一見すると歯並びがいいように思えても、実は奥歯の歯並びが整っていなかったというようなことがあります。

歯並びがいいかどうかは、歯科医院で判断してもらった方がいいでしょう。

子供のうちに矯正をするメリット

大人になってからでも矯正歯科治療は受けることが出来ますが、子供の頃からの矯正歯科治療には大人になってからのそれでは得られない利点があります。

癖を治せる

指しゃぶりや口呼吸など、お口や歯に関係する癖を小さい頃から改善させることが出来ます。癖は、続ければ続けるほど治すのが難しくなります。

早い段階で癖に気がつけるので、治しやすいですし、癖に伴うお口の機能の発達障害を防ぐことが出来ます。

抜歯しないで出来る可能性

大人の矯正歯科治療では、歯の大きさと歯を並べるスペースを比べて、スペースが不足しているときは歯を抜かなければきれいに歯を並べることが出来ません。

子供の頃から矯正歯科治療を受けていると、歯の形や大きさ、生えてくる順序に合わせて、顎の成長方向を誘導すできるので、抜歯をしなくてすむ可能性があります。

手術しなくても出来る可能性

歯並びや噛み合わせの異常の原因が、顎の骨格そのものあるときは、矯正歯科治療を完了させるために顎の骨の手術をしなければならないことがあります。

しかし、子供の頃から矯正歯科治療をしていると、顎の骨の成長発育を適切にコントロールできるので、手術しなくても歯並びがきれいになる可能性が高まります。

後戻りが少ない

矯正歯科治療を終えた後、歯の並びが元に戻ってしまうことを後戻りといいます。

大人の矯正歯科治療では、後戻りを防ぐためにリテーナーという後戻り防止装置を使うのですが、それでも後戻りが生じてしまうことが多々あります。

子供の頃から矯正歯科治療をしていると、歯の位置に合うように顎の骨が成長してくれるので、後戻りが起こる可能性が低いです。

歯医者さんの選び方

歯科医院をみて、看板に矯正歯科を標榜している歯科医院を選ぶといいでしょう。

その上で、矯正歯科治療は保険が適応されない自費診療なので高額になりがちです。そこで、以下のポイントを参考にしてください。

説明がしっかりしている

矯正歯科治療の方法だけでなく、検査をしなくてもわかる範囲で、おおまかでいいので治療期間や治療費などを説明してくれる。

検査をした後は、検査の結果資料を提示しながらていねいに説明してくれる。

こうした点をチェックしてみてください。

無理強いしない

費用が高くなったり、期間が長くなったりすると、迷ってしまうのが常です。

そんなときに、無理強いしてくる歯科医院はおすすめできませんね。

専門医

専門医でなければならないということはないのですが、専門医資格を持っている歯科医院と、そうでない歯科医院で迷っているときは、そこのところで選んでもいいでしょうね。

子供の矯正とは?

子供の矯正歯科治療では、大人ではあまり用いられない方法が使われます。具体的には、主に筋肉の力や骨の成長を利用した方法です。

機能的顎矯正装置

アクチバトールやFKOともよばれ、受け口の治療に使われる矯正装置で、上下顎一体型の人工歯がついていない入れ歯のような形状をしています。

これも筋肉の力を利用した矯正装置で、上顎の前歯を外側に、下顎の前歯を内側に移動させます。

咬合斜面版

上顎の内側につける人工歯がついていない入れ歯のような矯正装置です。

咬合斜面版は、上顎が下顎よりも前方に出過ぎているような時に用いられます。

筋肉の力を使って、下顎骨を前方へ発育させて、上顎骨と下顎骨の大きさのバランスを整えます。

リップバンパー

リップバンパーとは、唇の裏側に接触するようなU字型のワイヤーです。これを6歳臼歯につけたバンドに装着します。

リップバンパーも筋肉の力を使った矯正歯科治療法の1つです。

リップバンパーがあると、前歯に唇が当たらなくなりますので、前歯が唇によって内側へ押される力から解放されます。この働きによって前歯が自然にきれいに並ぶようになります。

拡大装置

上顎の骨の大きさを広げるために使われる矯正装置です。

上顎骨にあるY字型をした骨の縫合部を広げることで、上顎骨の成長を促します。

ですので、成長期には有効ですが、顎の骨の成長が終わりに近づいてくると効果がなくなってきます。

急速拡大装置と緩徐拡大装置とあり、症例によって使い分けます。

トゥースポジショナー

トゥースポジショナーは、本来は大人の矯正歯科治療が終わった後に使われる後戻り防止装置なのですが、中学生くらいの子供に使うと、軽い歯と歯の隙間や傾斜を治すことが出来ます。

保隙装置

保隙装置とは、乳歯が生え代わりで抜けるべき時期よりも早い段階で、むし歯や事故などによって抜けてしまった時に、本来その乳歯があったスペースがなくならないようにする矯正装置のことです。

抜けたままにしておくと、奥の乳歯が前によってくるため、抜けた所に生えてくるべき永久歯のスペースが不足してしまいます。

これを保隙装置によって防ぐことで、永久歯が生えてくるスペースを確保するのです。

まとめ

子供の矯正歯科治療は、成長発育を利用できるという大人にはないメリットがあります。

成長発育を利用出来るメリットを活かすため、子供の矯正歯科治療では大人とは違った矯正装置が使われます。

子供の頃から矯正歯科治療を受けると、大人でしばしば行なわれる矯正歯科治療のための抜歯や手術のリスクを減らし、しかも後戻りも起こしにくくすることができます。

もし、子供の歯並びに不安や疑問があるときは、歯科医院で一度相談してみてはいかがでしょうか。