子供の歯ぎしりは悪影響ないの?【歯科医が解説】

子どもが歯ぎしりをしていたら、さぞ驚くことでしょう。
中には歯に影響がでないかどうか不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ところが、実は子どもの歯ぎしりって、それほど珍しいことではないのです。歯ぎしりは大人だけに生じる癖ではないのです。

どうして子どもが歯ぎしりをするようになるのでしょうか。歯ぎしりに気がついた時、大人はどのように対応すればいいのでしょうか。

そこで、今回は子どもの歯ぎしりについて、その原因や対処法、歯への影響などについてわかりやすく解説します。

子供の歯ぎしりとは

歯ぎしりとは?

歯ぎしりとは、繰り返し上下の歯を接触させたり、くいしばったりするお口を開け閉めする筋肉の活動のうち、食べたり飲んだりといった正常な活動に関係のないもののことです。

簡単にいうと、食事以外の時に歯と歯を接触させる癖です。

歯ぎしりというと、「ギジギジ」など音がするイメージがあると思いますが、必ず音を伴うというものではありません。音がない歯ぎしりもあるのです。

歯ぎしりのことをブラキシズムとよび、睡眠中に行なう歯ぎしりを「睡眠時ブラキシズム」、起きている間に行なわれる歯ぎしりを「覚醒時ブラキシズム」といって分類しています。

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歯ぎしりが始まるころ

歯 生え替わり 乳歯

歯ぎしりは赤ちゃんでもします。特に奥歯が新しく生えてきたころ、つまり2〜3歳前後にかけて多くみられます。いいかえれば、2〜3歳頃から歯ぎしりが始まるようになるとも言えますね。

次のピークは、混合歯列期とよばれる乳歯が永久歯に生え変わる7〜12歳頃の時期です。

乳歯と永久歯が混ざっているので噛み合わせが安定しないことが歯ぎしりの原因と考えられ、乳歯が無くなり永久歯だけになる中学生ごろには自然となくなることが多いです。

乳歯の歯ぎしり

乳歯が生えてくるとき、歯ぐきをおしのけるようにして歯が生えてきます。
そのため、歯ぐきがおしのけられて、むずがゆく感じられるようになったりします。

また、新しく生えてきた歯に既に生えている歯をあてることで、新しく生えてきた歯を確認しようとしようとすることがあります。それだけでなく、歯と歯を当てると音がしておもしろさを感じることもあるでしょう。

むずがゆさを解消しようとしたり、歯を確認しようとしたり、もしくは歯を当てて遊んだりすることで歯ぎしりをすると考えられています。

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起きてる時も歯ぎしりはある?

歯ぎしりというと、寝ている時にすると思われがちですが、実は起きているときに歯ぎしりをしていてもおかしくはないのです。

歯ぎしりには、歯と歯を合わせてギジギジと音を鳴らす歯ぎしりだけでなく、あまり音が出ない歯ぎしりやカチカチと合わせる音がするだけの歯ぎしりもあります。

後者の歯ぎしりを、タッピングというのですが、これは歯で歯を触る癖=歯牙接触癖があるときに起こります。
歯牙接触癖は日中に起こすことが多く、起きている時に歯ぎしりを生じる原因となっています。

歯ぎしりの考えられる原因

歯ぎしりはどうして起こるのでしょうか?

歯並び

下顎骨は、頭蓋骨からぶら下がっているだけの骨なので、もともと安定性が悪い=位置が定まっていない骨です。

そんな不安定な下顎骨の位置を定めて、きちんと噛み合わせるように下顎骨を誘導しているのが犬歯です。上顎と下顎の犬歯を接触させることで、下顎骨の位置を定めていると考えられています。

もし歯並びが悪く、上下顎の犬歯が適切に接触できない場合、剣士以外の歯を使って下顎の位置を定めなければなりません。
そこで、犬歯以外の歯と歯を擦り合せて、すなわち歯ぎしりをして、無意識のうちに下顎骨のあるべき位置を探し出そうとしている可能性があります。

噛み合わせ

むし歯で大きな穴が開いたままで放置している時、むし歯で歯が抜けたままでいる時、しっかり噛めなくなるので、噛み合わせが悪くなります。

そのようなとき、残っている歯で噛まざるを得ません。しかし、噛み合わせが不安定になっているので、下顎の位置もまた不安定になっています。

そのため、残された上下の歯を当てることで、下顎の位置を探し出して噛み合わせるようになります。つまり、噛み合わせの悪化も歯ぎしりを招くのです。

ストレス

人類は誕生してから長い間、飢餓の脅威にさらされてきました。
空腹に耐えてようやく食べ物にありつけたと、お口を動かす筋肉が弱ってしまっていたら食べることが出来なくなります。

そこで、飢餓状態のときには、歯ぎしりをして顎の筋肉が弱ってしまうことを防いでいたと考えられています。
飢餓状態とはすなわち、人類にとってはストレスです。

現代の日本では飢餓状態に陥ることは稀ですが、飢餓状態(=ストレス)を感じた時に歯ぎしりをするという本能的な反応は、人間の身体に残されたままです。

そのため、ストレスを感じると歯ぎしりをするのではないかという考え方が有力な説となっています。

歯牙接触癖

下顎の歯で上顎の歯を触る癖のことを歯牙接触癖ということは前述しました。
歯牙接触癖があると、歯と歯を当ててしまいますから、歯ぎしりをきたすようになります。

子供の歯ぎしりで心配される影響

子どもの歯ぎしりは、どのような影響を及ぼすのでしょうか。
実は、子どもの歯ぎしりはそれほど心配する必要はありません。

しかし、永久歯に生え変わってからも長期にわたって続くようでしたら、下記のような影響が考えられ、治療した方がいいことがありますので注意が必要です。

歯並びへの影響

矯正治療で歯に力をかけると歯が動くことから、歯には力を加えると動く性質があることがわかっていただけると思います。

歯ぎしりをすると、上下顎の全ての歯に対して、前後や横方向に必要のない力がかかるようになります。

歯の前後方向にはたいてい歯が並んでいますので、さほど影響が出にくいのです。一方、横方向には歯がありませんので、歯をその方向に動かす力が働きます。

歯ぎしりをするくせがあると、歯に横向きの力がかかり、横方向へ歯を動かすようになるので、歯並びが悪くなります。

かみ合わせの悪化

歯ぎしりをすると歯並びに悪い影響を及ぼすことを前述しました。

歯並びが悪くなると、上下の歯の噛み合わせ面を適切な位置で接触させることが出来なくなります。すなわち、噛み合わせが悪くなるのです。

悪い位置で噛み合わせるようになるため、歯の形もその位置で噛み合わせるようにすり減って変形していきますから、更に噛み合わせが悪くなるという悪循環に陥ってしまいます。

こめかみの痛み

顔のこめかみは、「お米を噛むとピクピク動く」ところから名付けられた名前です。

これは、食べ物を噛むという動作の際に側頭筋という筋肉を使い、側頭筋の付着しているところがこめかみに当たる場所なので起こる現象です。

歯ぎしりをしていると、側頭筋を必要以上に働かせることがあり、その場合にこめかみに痛みを感じるようになります。

こめかみの痛みを「頭が痛い」と表現することがあるので、頭痛との見極めが大切です。

睡眠不足

睡眠中の歯ぎしりは、食いしばりの裏返しでもある場合があります。

眠っている時に食いしばると、寝付きが悪くなり、睡眠時間はしっかり確保できているようでも、睡眠が浅くなったることがあります。

また、中途覚醒といって眠っている時に目覚めてしまい、連続した睡眠が得られないこともあります。

眠っている時に歯ぎしりをしているなら、もしかしたら子どもさんの睡眠が妨げられて、十分な睡眠が得られていない可能性があります。

歯がかける

歯ぎしりをしているということは、上下顎の歯と歯を接触させて、擦り合せていることを意味します。
歯の噛み合わせ面は、平坦ではなく臼の役割を果たすためにデコボコとしています。

その構造上、歯ぎしりをしていると咬頭とよばれる歯の凸の部分に大きな力がかかる場合があり、噛み合わせている歯によって、かけさせてしまうことがあるのです。

歯が平らになる

歯ぎしりは、歯を欠けさせることがあることは前述しましたが、かけてこない場合、ゆっくりと歯の咬頭の部分がすり減って、その高さが低くなってくることがあります。

すると、前歯から奥歯にかけて歯が全体的に凹凸の少ない平らな歯になってしまいます。

家庭でできる対処方法

子どもの歯ぎしりに対して、ご家庭で出来る対処法はあるのでしょうか。

行動変容療法

行動変容療法とは、患者さん自身に理解させることで、気づかせて、自分自身で治していく治療法のことです。

子どもの歯ぎしりの場合では、歯ぎしりという行為を子どもさんに理解させて、自分が歯ぎしりをしていることに気づかせます。

そして、歯ぎしりをしている時に、自発的に歯と歯を離すようにさせます。これを繰り返し、歯ぎしりをしないようにもっていくのです。

年齢が上がっていくほど効果的なのですが、低年齢ではなかなか難しいところがあるのが難点です。

歯医者さんでの対処方法

子どもの歯ぎしりに対して、歯科医院ではどのように対応するのでしょうか。

マウスピースをつける

マウスピースとは、歯の噛み合わせ面を覆うようにするプラスチック製のカバーのようなもののことです。
マウスピースをつけると歯と歯を接触させることが出来なくなりますので、歯ぎしりがやみます。

しかし、マウスピースは上顎、もしくは下顎の歯全体につけますので、歯を固定してしまいます。
成長途上にある子どもの顎の形や大きさ、歯の並びは常に変化しています。

したがって長期間にわたってマウスピースで固定してしまうと、その成長に悪影響が出る可能性があります。もし使うとしても、数週間以内に留めておくべきでしょう。

矯正

下顎は、頭蓋骨からぶら下がっているだけの骨なので、位置が定まりにくいことは前述しました。

歯並びが悪く、上下の犬歯が接触し得ないために歯ぎしりを起こしているなら、犬歯と犬歯が正しく接触するように歯並びを整えなければなりません。

歯並びをきれいな位置に整える治療は矯正治療です。歯並びが原因で歯ぎしりを起こしていると考えられるときは、矯正治療が適応となります。

歯医者さんの選び方

子どもの歯ぎしりは、どこで診てもらったらいいのでしょうか。

子どもの歯ぎしりが気になった時、受診するべきは歯科です。
その中でも特におすすめなのが、小児歯科か口腔外科です。

小児歯科は、小児科のよう名称がついていることからわかるように、子どもの歯科疾患を専門的に診療している専門科のことです。

口腔外科は、お口や顎に関わる外科的な処置を中心にしている専門科なのですが、一般的な歯科医院では困難な処置を担っているのが現実です。

外科疾患だけに限らず、広く診察しています。歯ぎしりもその範疇に含まれます。
したがって受診する歯科医を選べるなら、小児歯科か口腔外科を標榜しているところがいいでしょう。

まとめ

歯ぎしりというと、大人がするもののようなイメージがありますが、子どもの歯ぎしりをすることがあります。

ところが、子どももすることがあるのです。